3分でわかる技術の超キホン イネいもち病の概要と感染メカニズム

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いもち病の基本を解説
実は、イネにとっては重大な病気の1つなんです。

わが国における水稲面積あたりの収穫量の年次変動はかなり大きくなっています。

年次変動の主な原因は異常気象ですが、異常気象に伴う病害虫の発生が被害を一層増幅しており、なかでも冷害、長雨に伴ういもち病の被害が最たるものとなっています。

いもち病が広範囲に発生した圃場では十分な米の発育・肥大が出来なくなり、大幅な減収となります。
特に冷害の年には、低温によってイネいもち病の被害が拡大することが知られています。

 

いもち病とは?

イネがカビの一種であるいもち病菌(学名:Pyricularia oryzae、Magnaporthe oryzae)に感染して発病します。いもち病菌は、ササやタケにも感染することが知られています。

いもち病は、それが発生する部位によって別の名前で呼ばれることがありますが、発現の仕方が違うだけで、原因となる病原菌は同一です。
場合によっては、発生したイネの株がそれごと枯死することさえあります。

 

  • 葉いもち
 葉いもちの病斑には白点、褐点、慢性及急性の4種類があり、このうち急性型病斑は、その後の病斑拡大が速やかで、胞子形成も非常に多く、このため最も伝染力の強い病斑型といえます。急性型病斑が発生すると、若いイネなどでは、病原菌の出す毒素(ピリクラリオール、テヌアゾンなど)によって萎縮症状を呈することがあり、ついには枯死することがあります。ほ場全体が枯れ上がるような被害が出ることもある。
  • 穂いもち
モミの稔実が害され、品質が低下します。
  • 節いもち
節いもちにかかると、この部分から上部が枯死したり、養水分の移動が妨げられて稔実が悪くなります。また、勝手な方向に倒れるので特に機械収穫には支障をきたします。

 

病原菌の生態は?

菌糸の生育適温及び分生子の形成適温は、25~28℃で、感染は葉面の湿潤時間が10時間以上必要です。梅雨期のむしむしするような気候がこの病気のもっとも蔓延する季節です。
菌糸又は分生子の状態で被害わらや被害籾などで越冬し、特に籾は苗いもちの直接的な感染源となります。
分生子は洋なし型で2個の隔壁を持つことが多く、大きさは14~37×5~12μmです。

 

いもち病の感受性・抵抗性について

いもち病菌はレースがあることが知られており、品種により感受性が異なっています。
発生状況を把握するためには、どのレースが主に発生しているかを把握することも重要となってきます。
また、いもち病に対する抵抗性には違いが見られ、コシヒカリやササニシキはかなり弱く、あきたこまちは並、日本晴はやや弱い程度である。

 

いもち病の感染メカニズムは?

まず無性世代の分生子が葉に接触すると刺激で粘着質が分泌されて葉に付着します。

そしてm分生子が湿度で発芽することによって付着器となり、内部で生成されるグリセロールの圧力(80気圧にも達する)により菌糸がクチクラ層を突き破って植物体に侵入します。

それとほぼ同時に細胞内部にメラニンが生成されて細胞壁の強度を高める、とされています。(メラニンが生成されないと感染はできないことが立証されています。)

このため、現在いもち病用に用いられている殺菌剤はいもち病菌のメラニン生成を阻害することで防除するものが多いです。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)
 
※関連コラム:「 イネいもち病への対策(農薬/品種改良)」も併せてご参照ください。
 


バイオ関連技術や農薬に関する特許調査サービスは日本アイアールまでお問い合わせください。


 

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