「新幹線」で特許を検索してみた[鉄道と特許②]

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新幹線と特許

「新幹線」は前回の東京オリンピック(1964年10月10日~24日の15日間)の開催と同時期の1964年10月1日に東京駅 – 新大阪駅間に開業した東海道新幹線から始まった日本の高速鉄道です。

今年2度目の東京オリンピック(2021年)が開催されていますが、これまで50年以上に渡る新幹線の歴史の中で、車両や線路の施設や設備の異常、運行側の不手際等に起因する乗客等の死亡事故は一度も発生しておらず、この事実は「新幹線の安全神話」として語られています。

今回は、本文全文に「新幹線」と入力して検索した結果について分析してみました。

1.「新幹線」の検索結果:日本特許編

本文全文に「新幹線」と入力して検索すると下記の通りになりました。

検索式 件数
[1]本文全文:新幹線 8,310

【表1 日本特許の検索結果】
※データベース:CyberPatent Desk

 
 

(1)出願人のランキング

出願人のランキングを見てみると、

新幹線 出願件数ランキング(国内)
【図1 出願件数ランキング(国内)】

 
 
第一位:公益財団法人鉄道総合技術研究所となりました。
 
通称は鉄道総研(てつどうそうけん)またはJR総研。鉄道技術や鉄道労働科学に関する研究開発、調査等を全般的に手掛けています。また重大な鉄道事故が発生した際、国土交通省運輸安全委員会と共に事故原因の調査などを行うこともあります。
設立以来、世界初のものも含め数多くの技術開発などを行った実績があり、現在でも鉄道技術に関する様々な研究開発を行っています。初代会長はソニー創業者の井深大氏です。
 
 

(2)筆頭FI

次に筆頭FIを見ていきましょう。

順位 筆頭FI
メイングループまで
 件数 分類説明
1 G06F17 320 特定の機能に特に適合したデジタル計算またはデータ処理の装置または方法
2 B60L5 202  電気的推進車両の動力供給線のための集電装置
3 B61D17 197 車体構造の細部
4 H04B7 168 無線伝送方式,すなわち放射電磁界を用いるもの
5 G01C21 116 航行;グループG01C1/00~G01C19/00に分類されない航行装置
6 G06F15 115 デジタル計算機一般;データ処理装置一般
7 E01F8 109 道路または鉄道から大気中に伝播される騒音を吸収または反射する装置
8 H04W 98 無線通信ネットワークに特に適合するサービス;そのための設備
9 B60M1 96 車両における集電装置に接触するための動力供給線
10 B61F5 96 台車構造の細部;台車と車両台枠との接続;曲線通過時に車軸または台車を調整するかまたは自動調整を可能にするための配置または装置

【図2 筆頭FIランキング(メイングループまで)】

AIの技術でよく振られるG06F17がランキングの1位。
次いでB60L5:集電装置、B61D17:車体構造・・・の順番になりました。
 
 

(3)出願人と筆頭FIの関係

出願人と筆頭FIの関係から、どの出願人がどんな技術を多く扱っているか見ていきましょう。

新幹線 出願人×筆頭FIランキング(メイングループまで)
【図3 出願人×筆頭FIランキング(メイングループまで)】

 
 

鉄道総研はB60L5:集電装置、B61F5:台車の技術を多く扱っているようです。
車両製造会社である日本車輌製造や川崎重工業はG61D17:車体構造の分類が多く振られていますね。

ところで、筆頭FIランキング1位はG06F17ですが、出願人ランキング1位の鉄道総研が多く扱っているわけではなさそうです。では、誰が?ということでG06F17分野の出願人ランキングです。

順位 出願人・権利者 件数
1 富士通株式会社 20
2 株式会社日立製作所 16
3 株式会社ナビタイムジヤパン 15
4 日本電気株式会社 14
4 株式会社東芝 14

【図4 G06F17分野の出願人ランキング】

経路探索エンジンの技術を扱うナビタイムジャパンが上位にランキングしているようでした。
 
 
 

2.「新幹線」検索結果:グローバル編

それでは世界に目を移しましょう。

Search Step  Result(s) Query Base
1 2,071 (SHINKANSEN)/TI/AB/CLMS/TX FULLPAT
2 6,466 (BULLET_TRAIN+)/TI/AB/CLMS/TX FULLPAT
3 28,129 (HIGH_SPEED_TRAIN+)/TI/AB/CLMS/TX FULLPAT
4 35,517 1 OR 2 OR 3 FULLPAT

【表2 世界特許の検索結果】
※世界の検索では新幹線+高速鉄道のキーワードで検索を行っています。
※データベース:Orbit

 
 
 

図5は出願件数ランキングです。
 

新幹線 出願件数ランキング(外国)
【図5 出願件数ランキング(外国)】

 
 
 

図5に登場する外国企業について簡単にご紹介します。

1位 北京嘀嘀无限科技发展有限公司

2013年5月6日に設立された企業です。事業範囲には、コンピュータソフトウェアおよびネットワーク技術の研究開発、技術サービス、技術相談、技術移転、自社開発ソフトウェア製品の販売とのことです。

2位 西南交通大学

中国四川省成都市に位置する国立大学です。

3位 中国中車青島四方機車車輛股份有限公司

中国山東省青島市にある鉄道車輛の設計、製作を行う企業で、CRRC(中国中車)グループに属しています。

4位 中南大学

中国湖南省に本部を置き、医学、土木、材料工学が有名な中国の名門大学です。

ということで、上位4位までを中国勢が独占しました。

1位のBEIJING DIDI INFINITY TECHNOLOGY & DEVELOPMENTは、2013年に設立されたにも関わらず出願件数1位。

下図6からも近年、中国の出願件数が爆発的に増えていることが分かります。

新幹線 発行国の件数推移(発行数上位5国分のみ)
【図6 発行国の件数推移(発行数上位5国分のみ)】

 
 
それでは世界のIPC特許分類ランキングを見ていきましょう。

順位 IPC分類 件数 分類説明
1 G01M-017/08 625 鉄道車両
2 B61D-027/00 523 暖房,冷房,換気または空気調和
3 G06Q-050/30 480 運輸業;通信業(特定の業種に特に適合したシステムまたは方法)
4 H04W-036/00 453 ハンドオフまたは再選択(無線通信ネットワーク)
5 H04L-029/08 414 伝送制御手順( 通信制御;通信処理)
6 B61D-033/00 409 座席
7 E01F-008/00 398 道路または鉄道から大気中に伝播される騒音を吸収または反射する装置
8 B61L-027/00 372 集中制御方式(鉄道交通の案内;鉄道交通の保安)
9 B61D-017/02 338 外形を修正することによって空気抵抗を減ずるもの
10 H04W-072/04 328 無線リソース割り当て(無線通信ネットワーク)

【図7 IPCランキング】

1位 鉄道車両、2位 空調、3位 システム関連となりました。
出願件数の圧倒的に多い中国のIPC分類ランキングとも言えるかもしれませんね。

鉄道車両の分野が1位なのは、鉄道車両の売上高が他を圧倒するCRRCの影響でしょうか?
→詳しくは、前回の記事 「鉄道車両」で特許を検索してみた をご参照下さい。

前回の東京オリンピックの開催と同時期に開業した日本の新幹線。2027年開業予定のリニア新幹線。

日本の鉄道技術はこれからも発展を続け、世界をリードしていってほしいですね!

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 M・T [元・新幹線運転士])
 

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