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この連載コラムでは「プロドラッグ」の例を解説しています。
今回は、高脂血症薬およびその他のプロドラッグをご紹介いたします。
目次
シンバスタチンは、高脂血症の効能を有しています。
シンバスタチンは、投与後、体内で活性代謝物であるオープンアシド体に変換されて、主たる薬理作用であるコレステロール生合成阻害作用を発揮します。
シンバスタチンは活性体であるオープンアシド体と比較して、ターゲット臓器(コレステロール合成の主要臓器である肝臓)により選択的に分布し、全身循環への移行が少ないとされています。
同じ高脂血症薬のロスバスタチンも同様なプロドラッグです。
ロスバスタチンカルシウムは、高コレステロール血症HMG-CoA還元酵素(コレステロール生合成の初期の律速段階を触媒する酵素)の競合的阻害薬です。
ロスバスタチンカルシウムは、肝臓で活性のあるヒドロキシ酸型に変換されて作用するとされています。
メバロン酸類似の構造部分を通じてHMG-CoA還元酵素を競合的に阻害することにより、LDL値の低下という薬効を発揮します。
トラボプロストはイソプロピルエステル型のプロドラッグであり、角膜通過の際にエステラーゼにより活性代謝物であるトラボプロスト遊離酸(free acid)に加水分解されます。
アルファカルシドール(1α-OH-D3)は、カルシトリオール(1α,25-(OH)2-D3)のプロドラッグで、肝臓において速やかに最終活性型であるカルシトリオールに代謝され、生体のCa代謝や骨代謝の調節に重要な役割を果たすとされています。
プラスグレルは、抗血小板剤として使用されています。
プラスグレルは、生体内で活性代謝物(R-138727)に変換された後、血小板膜上のADP受容体P2Y12を選択的かつ非可逆的に阻害することで血小板凝集を抑制します。
パリペリドンパルミチン酸エステルは、水性懸濁液として、筋肉内に投与することにより投与部位で徐々に溶解し、加水分解され、活性本体であるパリペリドンとなって吸収されます。
パリペリドンはリスペリドンの主活性代謝物であり、ドパミンD2受容体およびセロトニン5-HT2A受容体に高い親和性を有するセロトニン・ドパミンアンタゴニスト(SDA)に分類されます。
パリペリドンパルミチン酸エステルは持効性の筋肉内注射用プレフィルドシリンジ製剤として、パリペリドンは錠剤として、ともに総合失調症として使用されていますが、持効性注射剤は、4週に1回の投与でパリペリドンによる治療効果が期待でき、アドヒアランス向上に寄与できる薬剤とされています。
リスデキサンフェタミンは、主に血中で速やかに加水分解され、活性体のd-アンフェタミン(Dextroamphetamine)を生成します。
d-アンフェタミンは、ノルアドレナリントランスポーター及びドパミントランスポーターに対する阻害作用等を有していることが知られているものの、AD/HD の治療効果における詳細な作用機序は不明とされています。
ホスフェニトインは、抗けいれん剤に使用されています。
ホスフェニトインは、フェニトイン(phenytoin)の水溶性プロドラッグであり、生体内でアルカリホスファターゼにより活性代謝物(フェニトイン)に加水分解されます。
フェニトインナトリウムは、水に難溶性ですが、ホスフェニトインナトリウム水和物とすることで水に溶けやすくなっています。
ラタノプロストは、PGF2αのプロドラッグであり、ブドウ膜強膜流出経路からの房水流出を促進することにより眼圧を低下させます。
眼局所に点眼したラタノプロストは、薬理活性本体であるPhXA85(ラタノプロスト遊離酸)に加水分解され、一部は角膜を透過し眼内に移行すると考えられています。
ガバペンチン エナカルビルは、体内で速やかに加水分解され、活性代謝物のガバペンチンを生成します。
ガバペンチンには経口投与時の吸収のばらつき(個人差)があり、また薬物吸収トランスポーターの飽和による臨床用量付近での吸収の飽和が認められることから、薬物動態を改善する目的でプロドラッグ化したガバペンチン エナカルビルが開発されました。
ガバペンチン エナカルビルは、ガバペンチンとは異なるトランスポーターから吸収され、用量依存的にガバペンチン血中濃度が上昇することが確認されています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)
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