3分でわかる技術の超キホン 核酸とは②(食品編)

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核酸と食品(グルタミン酸)

別コラム(核酸とは①)で、核酸の基本、歴史と医療、医薬品の利用について述べましたので、今回は食品(飼料を含む)への利用について簡単にまとめてみましょう。

 

1.食品分野における核酸の利用

(1)核酸系うま味調味料

核酸系うま味調味料は、1960年代に日本で開発された調味料であり、インスタント・ラーメンのスープなど広く利用されています。

日本うま味調味料協会」のウェブサイトによると、うまみ調味料は以下の通り分類されています。

タイプ うまみ調味料 原材料名
1 アミノ酸系うま味調味料 グルタミン酸ナトリウム
2 核酸系うま味調味料 イノシン酸ナトリウム
グアニル酸ナトリウム
リボヌクレオチドナトリウム(※)
3 低核酸系うま味調味料 リボヌクレオチドナトリウム
を1~2.5%配合
4 高核酸系うま味調味料 リボヌクレオチドナトリウム
を6~12%配合

※「リボヌクレオチドナトリウム」はイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの混合物

 

(2)呈味性ヌクレオチド

イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムは「呈味性ヌクレオチド」と呼ばれ、ヌクレオチドが「うま味」を呈する条件として、以下のことが知られています。

  • プリン核を持つヌクレオチドであること
  • プリン核の6位の炭素に-OH基を有すること
  • リボースの5’位がリン酸化されていること

5′-イノシン酸二ナトリウム塩(5′-IMP・2Na)はかつお節の旨味成分であり、5′-グアニル酸二ナトリウム塩(5′-GMP・2Na)はシイタケの旨味成分と言われています。

アミノ酸系のうま味成分と核酸系のうま味成分が食品中に混在すると、うま味が増すことが知られており、これを「うま味の相乗効果」と呼びます。うまみ調味料の製造でも、主成分のL-グルタミン酸ナトリウムに、グアニル酸とイノシン酸を添加して、うま味の相乗効果を出している例が多いようです。

ちなみに、坂口、國中らはこのような呈味性ヌクレオチド関連の発明(特許第282965号)によって恩賜発明賞を受賞(1964年)しています。

従来、核酸やヌクレオシドの栄養学的価値は認められておりませんでしたが、近年の研究により核酸は第七の栄養素ともいわれるようになったとのことです。現在、育児用粉ミルクに配合されたり、核酸補助食品が市販されています。

JFRLニュースnews Vol.3 No.27 「核酸について」参照

URL:http://www.jfrl.or.jp/jfrlnews/files/news_vol3_no27.pdf
 

2.核酸(食品関連)の特許を調べてみる

核酸(食品関連技術)の特許調査をするなら以下のような分類(FI)をチェックしてみましょう。

核酸(ヌクレオシド、ヌクレオチドを含む)食品・飼料に関する主なFIのみを用いて検索した結果は以下の通りです。
(2018年5月2日現在。J-PlatPatによる検索結果です)

なお、C07H19/00とC07H21/00は核酸関連の物質に関するFIです。

FI ドット 件数 説明
A23K20/153 2 203件 核酸;その加水分解生成物、その誘導体(飼料要素補足物質)
A23L27/23 2 371件 ヌクレオチドを含有するもの[2016.01]
A23L27/23@A 0 157件 複合化学調味料
A23L27/23@Z 0 203件 その他のもの
A23L33/13 2 210件 核酸またはそれらの誘導体(食品の栄養改善;ダイエット用製品)
C07H19/00 0 5,420件 1個の異項原子を糖類基と共有する複素環を含有する化合物;ヌクレオシド;モノヌクレチド;それらのアンヒドロ誘導体[2,4]/関連A61K31/70
C07H21/00 0 5,550件 ヌクレオシドの糖類基が結合しているリン酸またはポリリン酸エステルを,それぞれ別々に有する2個以上のモノヌクレオチド単位を含有する化合物,例.核酸[2]

 

核酸に関係する食品、飼料関係のFIで検索すると、3分類(A23K20/153+ A23L27/23+ A23L33/13)合計しても765件でした。
なお、A23L27/23@AとA23L27/23@ZはA23L27/23に包含されています。

そこで、上記の核酸関連の物質に関するFIとキーワードに食品・飼料関連のFIクラス(A23)を掛け合わせてみたところ、以下の通りでした。

[C07H19/00/FI+C07H21/00/FI+核酸/CL+DNA/CL+RNA/CL+ヌクレオチド/CL
 +ヌクレオシド/CL+イノシン/CL+グアニル/CL+グアノシン/CL]*[A23/FI]
⇒ ヒット件数 2,691件

おそらく上記の請求項中のキーワードを使用した検索では、かなりノイズが含まれていると思われます。
なお、FI検索765件と上記キーワード使用検索2,691件の重複は537件でした。

以上の通り、目的にもよりますが、FIとキーワードを組み合わせて検索したほうが特許検索における再現率は上がると思われます。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 A・A)
 
 


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