関係寸法チェック怠るべからず(技術者べからず集)
寸法照合は当然実施しました
ある製品を構成する部品の一つを新規に設計した時、設計者は当然のこととして、出図前に製作図面を詳細に照査して、その寸法に間違いがないかをチェックします。
設計計算結果と寸法との照合(寸法が公差も含めて設計値と合っているか)、組み立てる際にその部品が取り付けられる相方部品との取り合い寸法(該部品の取り付けに問題ないか)、重量(取り扱い上問題ないか)、などなど
すべてチェック確認して(設計検証)、設計担当氏は自信満々で出図しました。
ところが後日、「組立てられないよ」との連絡が・・・
そんなはずはない!と連絡を受けた設計担当氏は組立職場へ駆けつけました。
すると、なんと該部品を取り付けるために通過しなければならない手前の空間(図の右側にさらに別の構成部品を取り付けるための円形空間でインローと呼びます)よりも該部品の外径寸法が大きいために、インローをかわすことができず組立不可能になっていたのです。(図面参照)
組立作業は一時ストップ、大急ぎでインローを構成する部品の設計変更を行いましたが、インローを構成する部品の修正加工が必要になるなど、工程に大きな混乱を招いてしまいました。
関係寸法と組立手順の確認、怠るべからず
設計担当氏は、新規設計部品自体と該部品が直接取り付く先の相方部品の寸法確認はしたのですが、新規設計部品の外径が実績より大きくなっていたのに、組立の際に通過しなければいけない手前のインロー径との照合を怠っていたために、設計不良となってしまいました。
新規設計した部品の直接の相方部品だけでなく、組立手順、部品の組立方向も頭に入れて、すべての関係寸法を確認しなければなりません。
自分はこんなミスはしないよと思われるかもしれませんが意外にこの手の間違いは多いものです。
特に、経験豊富なベテラン設計者がいなくなると、設計検証の時点で見落とされる可能性も高くなると考えられます。
関係寸法チェック怠るべからず、再認識しましょう。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)