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2024/12/3(火)9:30~16:30
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ISO9001は、品質マネジメントシステムについての国際標準認証規格ですが、その箇条0序文で、品質マネジメントの七つの原則が挙げられています。
これら原則のうち、リーダーシップとプロセスアプローチについて解説をします。
品質マネジメントにおいて重要とされる原則には、以下図1に示すように七つの項目があります。
【図1 品質マネジメント7つの原則】
原則7の「関係性管理」とは、組織と関係する者との信頼関係を良好にするためのシステムや活動を表します。
関係する者に含まれる、「顧客」や「外部提供者」と呼ばれるものには以下があります。
その他、企業や組織が関係するステークホルダー(stakeholder、利害関係者)としては、組織メンバー(従業員)、地域社会、公的機関、そして関係団体などが含まれます。
「リーダーシップ」という言葉は漠然としていますが、ISO9001で定義されているリーダーシップに必要とされる要素を図2に示します。
【図2 リーダーシップに必要とされる要素】
組織においては、組織トップの強いリーダーシップによる品質システムの構築や活動の展開が求められますが、各階層や最も小さい単位のグループにおいても、リーダーシップが発揮されないと方針や方策は展開・実行されません。
図2の要素を説明する言葉で分かりにくいものがあるかもしれませんが、トップマネジメントから次の階層のリーダーたちへの展開、さらにその次のリーダーへの展開というような構造を想定し、言葉の意味を考えれば理解できると思います。
例えば、「管理層のリーダーシップ支援」というのは、トップマネジメントまたは上の階層のリーダーが、次の階層のリーダーがリーダーシップを発揮できるような環境を作るなどの支援を行うことを意味します。
リーダーには、自らの積極的活動と積極的支援の両方を行うことが求められています。
一方、メンバーにも、リーダーへの積極的な働きかけや協力が必要です。
風通しの良いオープンなコミュニケーションにより、リーダーもメンバーも共に成長し、組織の体質も強化されます。
品質活動においては、図3に示すようなPDCAサイクル(計画・実行・確認・対処)により、活動を進めていきます。
【図3 品質活動とPDCAサイクル】
“③ 確認” のステップにおいては、実行の結果や計画に対する進捗を確認しますが、それとともにプロセス自体に問題が無いかどうかの確認も重要です。プロセスや方法が最適でない場合には、修正を行わなければなりません。
たとえ得られている結果がOKであったとしても、現行のプロセスや方法に不具合リスクを生じる部分が無いかどうかを検討し改善することが必要です。これによりプロセスがより強化されて、将来起こりえる不具合の予防が可能となります。
一方、このようなプロセスの改善には、すぐ対処できるものと時間をかけて取り組まなければならないものがあります。プロセス上の課題や方策案に対して、短期、中期、そして長期のいずれで実行できるものかを分類し、優先順位を決め、次のPDCAサイクルに盛り込んでいかなければなりません。
七つの原則の五つ目の「改善」には、「継続的改善」が含まれますが、先に述べたようなプロセスの改善は「継続的改善」として特に重要なものです。
ISO9001の認証を受けたり、認証を継続するための活動、あるいは認証を受けずともISO9001に述べられている品質対応の心を学び組織の中で実践する活動は、顧客を含む関係者の信頼を得るとともに、組織のメンバーが仕事に誇りを持って取り組めるようになることに繋がります。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)