ISO9001、QS9000、そしてTS16949
ISO9001、QS9000 そしてTS16949は、どれもQMS (品質マネジメントシステム、Quality Management System)の認証規格ですが、どのような違いがあるでしょうか。
また、VDA6.3やISO26262、ISO14001そしてISO/IEC27001とは?
ISO9001の意義
各国で規格や規制が異なると、製品の輸出時に非関税障壁(Non-tariff barriers)となります。
すなわち、輸出する側は、相手先国の規格や規制に適合する仕様にするために追加のコストがかかります。関税ではありませんが、関税同様の参入障壁となります。
自由貿易を容易にするために、ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization)での標準規格化は有効です。
品質マネジメントシステムに関しても、ISO9001規格により国際標準化がなされているため、各国の顧客との取引きに対して要求される認証の取得負担が軽減されます。
なお、自動車業界では、企業個別または地域個別で定められたQMS関連要件への適合を求める場合があります。
BIG3が定めた ”QS9000”
かって自動車業界で北米ビッグ3と言われた、GM、クライスラー(現FCA)、フォードの三社が制定した品質マネジメントシステム規格がQS9000です。
ISO9001 (ISO9001:1994)に、自動車生産及びサービス固有の品質マネジメント要求項目を追加した構成となっています。これら三社との取引において、QS9000の認証取得が条件とされる場合があります。
自動車関連のニーズを盛り込んだ ”ISO/TS16949”
TSは、Technical Specification(技術仕様)を意味します。
TS16949はISO規格の一つで、ISO9001の品質マネジメントの考えをベースにして、自動車生産及びサービス固有の要求を盛り込んだものです。
QS9000では、ISO9001要求項目と顧客要求項目がそれぞれ別セクションとなっていますが、ISO/TS16949では、章など全体の構成はISO9001と同様で、各内容に自動車関連の要求を盛り込んでいます。
ISO9001の要求事項は、ISO/TS16946の本文に全て引用されています。
ドイツ自動車工業会が定めた ”VDA6.3”
VDA6.3は、ドイツ自動車工業会VDAが定める規格で、基本的な考え方や内容は、ISO/TS16949と同一ですが、顧客志向による視点からの要求が強化されています。
自社だけでなく関連サプライヤを含めた顧客志向品質管理システムの構築が必要とされます。
QMS規格以外の主な規格
製品やシステムの安全に関して、QMSでは構成される製品の品質確保によって得ようとしています。
一方、ソフトウェアを含む電子・電気パーツを含むシステムにおいて、ある構成品が不良品であったり、故障しても機能を保持できるよう充分な冗長性を得ようとする考えを基に、‘機能安全’に関して規格化したものが、ISO26262です。この規格では、開発企画段階から、実際のシステム・ハード・ソフトの開発、生産、及びサービスまでの各プロセスに対して要求事項を定義しています。
QMSは、品質に関するマネジメントシステムですが、環境に関するマネジメントシステムは、EMS(Environmental Management System)と呼ばれ、そのISO認証規格として、ISO14001があります。
また情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS, Information Security Management System)に関する国際規格として、ISO/IEC27001があります。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)