《実験計画法》分散分析を用いたデータ解析の考え方

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実験計画法における分散分析を用いたデータ解析

今回のコラムでは、実験計画法で実験を実施して取得したデータを分散分析によって解析するステップについて、何が分析できるのかを解説します。
 

1.ばらつきを表す指標

分散分析は、「分散」(数値データのばらつき具合を表すための指標を使って平均値を分析する手法です。

“ばらつき”について扱う場合、全体がどれくらいばらついているか、データと平均値の差である「偏差」を考えます。偏差の合計は正負が相殺されて0となるので、偏差を2乗してすべて合計した「平方和」にすると、ばらつきが数値化できます。
データが増えると平方和は大きくなるので、平方和を データ数-1(自由度)で割った分散」を用いて、数値データのばらつき具合を表します。
(標本サンプルの平方和をデータ数で割った標本分散もありますが、母集団のばらつきである母分散よりも少し小さな値となることが知られており、分散分析では平方和をデータ数-1(自由度)で割った「不偏分散」を使います。)
 

2.分散分析のしくみ

「桃の甘さが桃のサイズにより違いがあるのかどうか」を調べる実験を例として、分散分析のしくみについて見ていきます。

桃のサイズは大・中・小(3水準)とし、桃の甘味は糖度(特性値)を調べます。
図1のグラフでは”大”のデータの1つ(黒枠丸)について取り上げると、全体の平均値と”大”のグループの群平均値とのずれ(群間のずれ:青矢印)と、データ値と”大”のグループの群平均値とのずれ(群内のずれ:赤矢印)を合わせたものが、全体平均とのずれになります。これはすべてのデータで同じです。
群間のずれはサイズの違いによる効果(要因効果)をあらわすもの、群内のずれは誤差をあらわすものと考えます。群間のずれが群内のずれより大きければ、桃の大きさによる甘さの違いがある、つまり要因効果があると言えそうです。

バラつきの仕組み
【図1 ばらつきのしくみ】

 

ずれを考える時に、正負があり相殺されてしまうので、2乗した平方和で考えます。

データ全体のばらつきは、
 (全体のずれ)2の総和=(群間のずれ)2の総和+(群内のずれ)2の総和
という式が成り立ち、「全体のばらつき」を「要因効果によるばらつき」と「誤差によるばらつき」に分解して、要因効果によるばらつきと誤差によるばらつきの比についてF検定を行うことで、要因効果の有無を判断できます。
 

3.一元配置分散分析

桃の大きさが甘さに影響を与えているかについて、一元配置分散分析で調べます。

サイズ大・中・小(1因子3水準)として、桃について5個ずつ糖度を調べ、全体平均と水準ごとの平均を調べた結果を図2aとします。

全体のばらつきを「要因効果によるばらつき」と「誤差によるばらつき」に分解します。
全体のばらつきは [データ-全体平均の平方和] 、要因効果によるばらつきは [水準平均-全体平均の平方和] 、誤差によるばらつきは [データ-水準平均] となります(図2b,c)。

ばらつきの分解
【図2 ばらつきの分解】

 

図2のデータをもとに図3aに従って、統計量を算出し、分散分析表(図3b)を作成します。
F検定で要因効果を表す分散VAと、誤差を表す分散VEの大小を検定していきます。
帰無仮説(主張したい仮説ではない方の仮説)として ”桃のサイズにより糖度に差はない” とし、有意水準は5%(仮説を棄却するかしないか決める基準)とします。

分散分析表より分散比 F0=VA/VE=5.14 、F分布表より自由度2、12のF分布の5%点は F(0.05,2,12)=3.88 となります。
F0>F(0.05,φAE) であるため、帰無仮説は棄却され、有意水準5%で桃のサイズにより糖度に違いがあると判断できます(図3c)。
 

分散分析
【図3 分散分析】

 

二次元配置実験、多元配置実験、直交配列表実験でも同様に、分散分析により解析できます。
複数の要因について、いずれの要因に効果があるか、また要因同士の交互作用の有無についても知ることも出来ます。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 N・Y)
 
 

 

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