進化論とフェイルセーフ


鳩

進化に関する学説で有名なのは、突然変異説と環境適応説ですが、進化論をフェイルセーフ(fail safe, 故障時は、システムを安全サイドに制御する)あるいはフォールトトレランス(Fault tolerance, 故障時にも多重化により機能維持を図る)の観点から考えてみたいと思います。

 

種というシステムと進化

その目的がどのように設定されてどのようにして与えられたかはさておき、とりあえず進化は方法であって、目的は種の保存だとしましょう。種の全体をシステムとして、”フェイルセーフ”と”フォールトトレランス”の観点から考えると、数を増やすことは絶滅を防ぐというフェイルセーフにも、多重化するというフォールトトレランスにもかなっています

一方、システムの多重化や冗長性(redundancy)のアップを行う際に非常に重要なことを思い出してみましょう。それは、多様化です。種において数を増やすだけでは冗長なシステムとは言えず、多様性も増やさなければなりません。

 

多様性

デッドコピーで数を増やすよりも多様な変種を混ぜた方が、種のシステムの延命確率が高くなります
それではどの程度のレベルの変種を増やせば良いでしょうか?
グレートジャーニーと呼ばれるアフリカから南米までの地球移動において人類には変種が生じました。
例えば欧州を移動しアジアへ向かう際に、寒冷地に有利な、より凹凸の無い、目を大きく開けずとも良い、現在のモンゴル系の顔立ちが発達・生存したといわれています。

開発の実験では特性傾向を理解するため、通常の変数幅を越えた領域を評価しなければならないと言われています。
一方、失敗の変数を評価することにより、大発見・大発明が得られることがあります。
これを進化に当てはめると、突然変異に相当し、突然変異的な変数、変種で生存実験が行われ、その場、その時の環境に適応した変種が生き残ることになります。

 

時間のかかる実験

天敵との闘いでお互い変化していく様子には、ある設計目標値のようなものを感じますが、それはあり得ません。

夜活動するガは、チョウに対して眼の光の反射により天敵に捕捉されないように眼の光屈折率が大きくなっていますが、これは何十代、何百代もかかって変化したものです。最新結果だけを観測すると実に良くできていて、最適値が分かっていて、どのような構造設計にすると、その最適値を得られるのかが分かっているかのように思われてしまいます。実際には、変種&突然変異の繰り返し、環境という負荷を与え評価がなされ、何百代、何千代も実験を続け最適解にたどりついたと理解されます。実験的な言葉で表せば膨大な時間をかけた多変量解析実験により、多変量の各最適値を見つけていくようなものです。

 

バラツキ

工業製品ではバラツキは嫌われ者です。より均一な製品が、品質の安定した良い製品だと言われます。
一方進化においては、バラツキ=変種は種の生存のためにとても重要です。
全く同じ製品ができないように、完全なクローンはできないと思います。(見かけ上のDNA配列は同じでも、各要素、例えば塩基レベルでは完全同一ではない)すなわちバラつくのではなく、バラつかないことはできないのです。
全ての特性が平均的な人間は多そうな気がしますが、全てが平均に近い人間は極めて希少です。ある特性Aのバラツキ分布中心の3分の1に入る人を平均的とすると、特性A、B、C、D、・・・とあり、例えばA、B、C、D全て平均的となっている人は、確率計算では3分の1の4乗となり、81分の1しか存在しないことになります。進化の過程におけるバラツキを考えると、平均は絶えず変化しバラツキ分布の端も絶えず動いています。

 

ロボットによる環境適応設計

種の保存のためには、バラツキが極めて重要ということが理解できました。
それでは(生物ではありませんが)ロボットという種を考えて、AIにロボット変種(複数)の設計をさせてみましょう。対決しなければならないのは、環境変化と天敵です。
環境変化では、過去に地球で起こったことの全てを学習し、天敵に関しては、勝負を決めた特性、戦略を全て学習します。
更に地球以外で生じる可能性がある現象も学習します。
負荷の種類としては、熱(高温、低温)、地震、水害(津波、豪雨)、豪雪、電磁ノイズ(磁気嵐)、放射能、細菌・・・。そして想像(創造)に基づく未知の外乱負荷です。

 

生き残ったロボットによる地球上生物の再生

ロボットにより準備された全ての変種ロボットには、地球上全ての生物DNAを所持してもらい、生き残ったロボットに、地球上生物を再生してもらうというミッションが与えられたら・・・・?ノアの方舟は一艘でしたがロボット方舟では、サバイバル用変種ロボットの数だけ舟があることになります。

 

E3.0

Evolution,進化の第一時代は、身体能力の高さで生き残り競争が行われ、第二時代には、身体能力の低い人類が知能により、パラダイムシフトを成し遂げました。
知能競争においては、人類の持つNative intelligenceを、生物ではありませんが、Artificial intelligence、AIが追い抜く時が来るかもしれません。(2026年?)

そして第三時代における、パラダイムシフトは?身体能力も低く、知能も低いものが支配する?例えば、・・・・。

 
(アイアール技術者教育研究所 H・N)

関連コラム

 


スぺシャルコンテンツ
Special Contents

導入・活用事例

テキスト/教材の制作・販売