3分でわかる技術の超キホン コンドロイチンとは

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コンドロイチンの種類と概要、特許調査
 

コンドロイチンとは?

最近コンドロイチンを含むサプリメント(健康食品)や市販薬が多数販売されているので、一般の方もコンドロイチンという言葉を目にする機会が多いと思います。

それではコンドロイチンとは一体何でしょうか?
きわめて簡単に言うとネバネバした性質の生体高分子物質で、ヒアルロン酸と同様、「ムコ多糖」という一群の物質に属しています(専門的には「グリコサミノグリカン」と呼ばれています)。
この物質は、哺乳動物の関節軟骨、角膜、じん帯、皮膚、椎間板などの結合組織や粘液に多く含まれ、また食品としてフカヒレなどの魚の軟骨、スッポン、ウナギ、鯛やマグロの目玉、鳥の皮などにも豊富に含まれています。

なお、今から約150年前に軟骨から単離・発見され、これに因んで「コンドロイチン」(「軟骨」を意味するギリシャ語由来の言葉)と命名されました。

 

コンドロイチンの種類

コンドロイチンは、生体高分子物質で、粘度が高く、吸水性が高い(沢山の水を吸収する)物質であり、多糖類(ブドウ糖のような単糖類が多数つながったものを多糖類といいます。)の一種です。
ちなみに、紙の主成分であるセルロースやデンプンも多糖類です。

化学的には、アミノ糖(N-アセチル-D-ガラクトサミン)とウロン酸(D-グルクロン酸)の二糖の単位が反復する基本骨格をコンドロイチンと呼び、この骨格のOH基(水酸基)の一部に硫酸基が結合したものがコンドロイチン硫酸です。
この硫酸基の結合位置によって、7種類、主に5種類に分類されますが、代表的なコンドロイチン硫酸は、アミノ糖の4位に硫酸がついたコンドロイチン4硫酸(コンドロイチン硫酸Aともいう)、6位に硫酸がついたコンドロイチン6硫酸(コンドロイチン硫酸C)の2種類です。

[出典:JFRL ニュース Vol.4 No.24 Aug. 2013]

現在、商業的に使用されて「コンドロイチン」と呼ばれているものは、正式には硫酸基が結合したコンドロイチン硫酸(医薬品の一般名としては「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」)です。

 

コンドロイチンの製法

コンドロイチンは生体成分であることから、サメ軟骨、ブタ軟骨から抽出・精製されます。
近年、サケ軟骨やイカ軟骨からも製造されます。近年、コンドロイチン合成酵素の遺伝子を利用したバイオ技術で微生物にコンドロイチンを生産させる試みもあるようです。

 

コンドロイチンの用途

体内のコンドロイチンは、加齢に伴って徐々に失われ、関節痛や皮膚のしわの原因の一つともいわれています。このように生体内で重要な役割を果たしていることから、先ず、関節痛、肩関節周囲炎(五十肩)などに効果がある内服薬(錠剤、ドリンク剤等)、注射薬や眼科用剤(点眼薬、洗眼薬等)として許可され、近年、化粧品、サプリメント(健康食品)、食品添加物としても幅広く利用されています。

 

コンドロイチン硫酸と医療

コンドロイチン硫酸は、国内では1950年代から工業的に生産され、1960年代には医療用医薬品として承認されています。
この医療用医薬品(内服薬、注射薬)の「効能・効果」を添付文書で確認すると「腰痛症,関節痛,肩関節周囲炎(五十肩)、症候性神経痛、進行する感音性難聴(音響外傷を含む)、慢性腎炎(軽症例)」と記載されています。
また、1970年代以降、角膜保護点眼剤としても利用されているほか、ヒアルロン酸との配合剤として「超音波乳化吸引法による白内障摘出術及び眼内レンズ挿入術」の眼科手術補助剤としても使用されています。

 

コンドロイチン硫酸と知財紛争

さて、このように、医薬品としても50年以上の歴史をもつ物質なので、特許紛争など起こらないと思われるかもしれませんが、最近、コンドロイチン硫酸を含む医薬品特許に関して興味深い判決がでていますので、ご紹介します。

[知的財産高等裁判所 平成29年1月18日判決 平成28年(行ケ)第10005号]

この事例はコンドロイチン硫酸の平均分子量の明確性について争われたもので、知財高裁は、明細書に記載された「平均分子量」が不明確と認定しました。

 

コンドロイチンの医療用途に関する特許調査をするなら?

コンドロイチンの医療用途(医薬品、医療機器、化粧品など)に関する特許調査をするなら 以下のような分類(FI)をチェックしてみましょう。

まず、2018年4月時点で、「コンドロイチン」というキーワードが請求項に記載された公開特許公報+登録特許公報(公告を含む)の件数を調べてみると2800件強(J-PlatPatによる)ですが、その約82%は医療関係(A61)の出願となっています。
医療関係のうち、約44%がメイングループA61K31(有機活性成分を含有する医薬品製剤)が付与された公報です。
A61K31の下位分類のうち、特にA61K31/737(・・・硫酸化多糖,例.コンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸(A61K31/727が優先))が直接関係する分類ですが、その上位概念の分類であるA61K31/726(・・・グリコサミノグリカン,すなわちムコ多糖(コンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸A61K31/737))の方が多数ヒットしますので、これら2分類は必須の分類と言えるでしょう。

なお、Fタームでは4C086EA26(・・・スルフオン酸基を含む)
[上位分類:EA00 炭水化物,糖類 ⇒ EA20 ・多糖類(7個以上の糖類基を有するもの) ⇒ EA24 ・・酸基を含む] が関係します。

このFタームと「コンドロイチン(請求項)」を組み合わせて検索すると約500件ヒットします。FIとともに検索に使用することも検討してみましょう。

(日本アイアール株式会社 特許調査部 A・A)

 

☆コンドロイチンなど、糖化学に関する特許調査サービスは日本アイアールまでお問い合わせください。

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