【中国特許分析】産業用ロボットに関する中国特許出願動向をチェック!

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産業用ロボット

はじめに:産業用ロボットと中国の政策

「産業用ロボット」は、自動車、3Cエレクトロニクス、金属加工、化学、食品・飲料、バイオ・医薬品などのさまざまな産業分野において、製造工程等で人間の代わりに広く使用されている多関節マニピュレーターまたは多自由度の機械装置などです。

産業用ロボットの発展は、世界中の国々からますます注目を集め、主要経済国では、製造業の競争優位を維持するため、国家戦略としても策定されています。
特に中国では、政府が産業用ロボット産業の持続的かつ安定的な発展を促進することに努めており、次のようにロボット産業に優遇政策が頻繁に登場しています。

  • 2013年に中国工業信息化部が発行した「ロボット産業の発展促進に関する指導意見」では、2020年までの産業用ロボット産業の発展目標を明確に述べており、2020年までに比較的完全な産業用ロボット産業システムを完成させ、国際競争力のある3〜5の主要企業と、8〜10の支援産業クラスターを育成することを目指しています。
  • 2015年に中国国務院が発行した「中国製造2025」では、画期的な開発を積極的に推進する重点領域10分野の1つに産業用ロボットが位置づけられました。
  • 2016年12月、中国工業信息化部が「産業用ロボット業界規範条件」を発行し、産業用ロボット業界における業界規範の改善、製品品質管理の強化、業界秩序の維持、業界規範の健全な発展を促進することを提案しました。ロボット企業の望ましい技術力の要件などを設定し、認証を得て公告された企業に政策支援を集中させています。
  • 2017年7月、中国国務院は「新世代人工知能開発計画」を発表し、スマート産業用ロボットとスマートサービスロボットの開発を提案し、それらの大規模な市場応用を実現し、産業用ロボットのスマート化開発を促進することを目指しています。
  • 工業信息化部が実施する技術開発「一頭の龍」プロジェクトとして、科学技術部などが2015~19年に8億元~20億元の研究開発費を投入しました。
  • 2017~18年、中国製造のための先進製造業産業投資基金などが有力ロボットメーカーに出資しました。

産業用ロボットに対する一連の強力な政策支援により、中国産業用ロボットの生産量は2015年から2020年にかけて増加傾向を維持し、2020年11月現在、産業用ロボットの生産量は2015年の32,996台から206,851台に増加しています。2020年に国際ロボット連盟が発表したレポートによると、中国は世界最大かつ最も急速に成長している産業用ロボット市場になりました。

では、その特許出願状況はどうなっているのでしょうか?
今回は、中国の特許データベース“Incopat”を利用して、産業用ロボットに関する中国特許出願の状況を簡易的に分析してみました。
 

1.産業ロボットの世界各国への出願動向

産業用ロボットに関する世界特許出願の公開件数推移を図1-1に示しました(2001~2020年)。
かつて日本やアメリカがリード役として牽引してきましたが、2009年に中国特許の年間公開件数が日本とアメリカを抜き、2016年からはさらに急増し、特許出願は爆発期に入り、年間1万件以上の特許出願が公開されています。

産業用ロボットに関する世界特許出願の公開公報件数推移
【図1-1 産業用ロボットに関する世界特許出願の公開公報件数推移】

 

[PCT出願]出願人国籍別公開公報件数割合
【図1-2 [PCT出願]出願人国籍別公開公報件数割合】

 

なお、世界各国の出願推移を見ると、PCT出願(WO)の増加も目立っています。
世界中で産業用ロボットに関して、グローバルな特許出願戦略をとる企業は多いようです。
図1-2に示されるように、PCT出願のうち、欧州国籍が一番多く38.46%で、次いで米国籍32.11%、日本国籍15.44%、中国籍8.33%、韓国籍4.18%、と続いています。
 

2.産業用ロボットに関する中国特許・実用新案の出願状況

最近10年間産業用ロボットに関する中国出願の状況(公開件数推移)
【図2 2011年~2020年の産業用ロボットに関する中国出願状況(公開件数推移)】

 

2011年~2020年の出願状況(図2)を見ると、特許と実用新案とも年々急速に拡大しており、実用新案と特許の公開数割合は、年々増加する傾向があります。
 

3.産業用ロボットに関する中国特許出願のIPC分類状況

産業用ロボット分野の中国特許について、IPC分類の統計分析を見てみましょう。
よく使われている上位分類を表1にまとめました。

IPC分類 定義
B25J マニプレータ;マニプレータ装置を持つ小室
B25J5 車または搬送体に設置されているマニプレータ
B25J9 プログラム制御マニプレータ
B25J11 他類に分類されないマニプレータ
B25J13 マニプレータの制御
B25J15 把持部
B25J17 接続部
B25J19 マニプレータに適合する付属装置,例.監視のための,探知のための;マニプレータと関連して使用するために結合または特に適用される安全装置
B65G 運搬または貯蔵装置,例.荷積みまたは荷あげ用コンベヤ;作業場コンベヤシステムまたは気体式チューブコンベヤ
B65G47 コンベヤに関連して物品または物質の取り扱い装置;そのような装置を用いる方法
B23K ハンダ付またはハンダ離脱;溶接;ハンダ付または溶接によるクラッドまたは被せ金;局部加熱による切断,例.火炎切断:レーザービームによる加工
B23K37 このサブクラスの他のメイングループの1つのみによりカバーされる1つの工程に特に適合しない補助装置または方法
G06F 電気的デジタルデータ処理
G05B 制御系または調整系一般;このような系の機能要素;このような系または要素の監視または試験装置
G05B19 プログラム制御系
B23Q 工作機械の細部;構成部分,または付属装置,例.倣いまたは制御装置;特定の細部または構成部分の構造により特徴づけられる工作機械一般;特定の結果を目的としない金属加工機械の組合わせ
B23P 他に分類されない金属加工;複合作業;万能工作機械
G01B 長さ,厚さまたは同種の直線寸法の測定;角度の測定;面積の測定;表面または輪郭の不規則性の測定
G09B 教育用または教示用の器具;盲人,聾者または唖者の教習,または意志を通じるための用具;模型;遊星儀;地球儀;地図;図表
F16H 伝動装置

【表1 IPC分類説明】

 
 

中国特許出願のIPC分類別公開件数
【図3-1 中国特許出願のIPC分類別公開件数】

 
 

図3-1に示されるように、技術構成の観点から見ると、中国の産業用ロボット分野は、主に3つのIPC、大分類B25J(マニプレータ)、B65G(運搬または貯蔵装置)、B23K(ハンダ付またはハンダ離脱;溶接)に集中していることがわかります。
産業用ロボットの(B25J、B23K、B23Q)における関連特許の公開数は総数の6割以上を占めており、中国は主に産業用ロボット本体の研究に専念していることがわかります。

IPC分類別公開件数推移
【図3-2 IPC分類別公開件数推移】

 

図3-2を見ると、2015年以降、B25J、B65G、B23Kに対応する技術の特許出願公開数は大幅に増加しています。G06F(電気的デジタルデータ処理)、G05B(制御系または調整系)の特許公開数はわずかな増加しか示していません。他の技術は大きく変わっていません。
 

4.注目されている技術効果

産業用ロボットに関する中国特許の中には、どんな技術効果や課題が集中されているか、見てみましょう。
incoPatによって機械的に抽出したキーワードに基づく統計結果を見ると、効率性向上、複雑性低減、利便性向上、コスト削減、自動化の向上、安定性向上などが挙げられました。

技術効果ごと公開件数
【図4 技術効果ごとの公開件数】

 

5.産業用ロボット分野の中国特許の出願人分析

(1)産業用ロボット分野に関する中国特許出願人の国別割合

中国特許の出願人のうち、中国籍出願人が全体の92.4%と9割以上を占めています。
外国籍出願人の中では、欧州籍の出願人が一番多く3.43%で、次いで日本籍の出願人が2.68%、アメリカ籍の出願人が1.79%、韓国籍の出願人が0.42%となっています。

産業用ロボットに関する中国特許出願人国別割合
【図5  産業用ロボットに関する中国特許出願人国別割合】

 

(2)産業用ロボット分野の中国特許の出願人ランキング

出願人の国籍を見ると、上位10位の出願人のうち、外国籍出願人は日本企業のファナックのみでした。

中国籍出願人の特許公開件数は外国企業に比べて圧倒的な優位性を持っていますが、中国の主要な出願人は主に大学、科学研究機関であり、上位10位にランクインしたのは、国家電網公司とグリー・エレクトリックの2社を除いて、残りはすべて大学と科学研究機関出願人です。
中国の特許公開件数は比較的多いものの、コア技術はまだ大学の基礎研究段階にあり、実際の工業化技術はグローバル産業用ロボット技術大国(日本、アメリカ)とのギャップが大きいことを示しています。

順位 出願人 公開件数 国別
1位 国家電網公司
State Grid Corporation of China
834 中国
2位 清華大学 735 中国
3位 ハルビン工業大学 686 中国
4位 グリー・エレクトリック
Gree Electric Appliances Inc. of Zhuhai
645 中国
5位 ファナック株式会社 625 日本
6位 華南理工大学 629 中国
7位 浙江大学 611 中国
8位 上海交通大学 508 中国
9位 広西大学 378 中国
10位 中国科学院瀋陽オートメーション研究所 371 中国

【表2 産業用ロボット分野に関する中国特許出願人上位ランキング】

 

(3)産業用ロボット分野の中国特許の企業出願人ランキング

では、「企業」の出願人上位ランキングはどうなっているのでしょうか?

上位10位のうち、中国現地企業が5社、日本企業が3社、韓国と台湾企業がそれぞれ1社となっています。
ロボット専業メーカー以外の企業もランクインしています。

順位 出願人 公開件数 国別
1位 国家電網公司
State Grid Corporation of China
834 中国
2位 グリー・エレクトリック
Gree Electric Appliances Inc. of Zhuhai
645 中国
3位 ファナック株式会社 625 日本
4位 株式会社安川電機 326 日本
5位 瀋陽新松ロボットオートメーション有限公司
Siasun Robotics and Automation
325 中国
6位 深セン優必選テクノロジー有限公司
UBTECH Robotics
298 中国
7位 セイコーエプソン株式会社 256 日本
8位 鴻海精密工業股份有限公司 226 台湾
9位 広東博智林ロボット有限公司 200 中国
10位 サムスン電子 193 韓国

【表3 産業用ロボット分野に関する中国特許出願人[企業]上位ランキング】

 
 

6.中国の産業用ロボット関連現地企業の概要と特許出願動向分析

企業出願人上位10位にランクインした中国現地企業出願人として、国家電網公司、グリー・エレクトリック、瀋陽新松ロボットオートメーション有限公司、深セン優必選テクノロジー有限公司、広東博智林ロボット有限公司と台湾企業の鴻海精密工業股份有限公司の特許公開状況について、さらに調べてみました。
 

(1)国家電網公司

国家電網公司(http://www.sgcc.com.cn/、「ステートグリッド」とも呼ばれる)は、2002年12月29日に設立され、主に電力配送事業に従事する中国政府が直接管掌する中央企業であり、産業ロボット分野では、主に電力産業における電力ロボットシリーズ技術の研究開発・応用を積極的に推進し取り組んでいます。

国内最大の電力ロボットの研究開発・工業化拠点を構築し、6シリーズ20種以上の「電力ロボットファミリー」を形成し、様々な製品は、送電、変換、配電、消費などの電力業界のすべての側面をカバーしており、国内市場シェアの51%を占めています。現在、国家電網山東電力が開発した469台の特殊電力ロボットが国内30州で「雇用」されています。2020年10月12日には、国家電網新疆電力が製造した5G産業用ロボットがデビューしました。

2020年まで、同社の産業用ロボット分野に関する中国特許出願公開は834件あり、有効特許が463件、審査中が219件、失効が152件(拒絶51件、出願公開後の取下げ22件、放棄31件、特許料未納44件、存続期間満了4件)となっています。また、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)8件、米国出願(US)3件、欧州出願(EP)1件もあります。

産業用ロボットに関する国家電網公司の中国特許出願公開状況
【図6-1 産業用ロボットに関する国家電網公司の中国特許出願公開状況】

 

(2)グリー・エレクトリック

グリー・エレクトリック(http://gree.com.cn/、Gree Electric Appliances Inc.)は、1991年に設立され、1996年11月に深圳証券取引所に上場した中国の大手家電メーカーです。設立初期は、主に家庭用エアコンの組立・生産に依存していましたが、現在では家電製品や産業機器の二つの主要な分野をカバーし、多様化、技術志向のグローバル企業グループに発展してきました。

2013年に、自動化機器製造部門を設立し、産業用ロボット分野を注力し始め、同年には最初のCNC5軸マニピュレーターGM1400、6軸産業用ロボットGREEBABY608、及び最初のAGVの開発に成功しました。

2015年9月には、完全子会社である「珠海グリーインテリジェント機器有限公司」が設立されています。
同社の製品は、サーボマニピュレーター、産業用ロボット、インテリジェントストレージ機器、無人自動生産ライン、CNC工作機械など、10を超える分野をカバーしています。

同社は、「GR650-2000」、「GR6165-2750」、「GRM50A」パレタイジングロボット、「GR4180-3000A」パレタイジングロボット、「GRS401-400」、「GRS405-600」、「GRD401-1000」、「GR625-1700」6軸ロボットなど多くの産業用ロボットを発売しました。近年では、溶接、組み立て、取り扱い、パレタイズ、接着、パッケージング、ロボット教育に広く使用できる多目的汎用産業用ロボットの新シリーズ産業用ロボット(「GR12A_2.0」、「GR20A_1.8」、「GR30A_1.6」、「GR30A_2.6」、「GR50A_2.0」、「GR70A_2.0」)も発売しています。

2019年9月の「第21回中国国際産業フェア」では、独自開発した「独立コア」を備えた新シリーズの産業用ロボット、新世代のサーボモーターやドライバーなどの新製品を発表しています。新開発したサーボモーターは、最短長111mm、出力密度282.5W / kgで、速度は国際レベルに相当する6500rpmに達します。

現在、グリーインテリジェント機器の生産額は50億元を超え、産業用ロボットの年間生産量は10,000台を超えています。グリー・エレクトリックは、産業用ロボット本体からコアコンポーネント、そして市場応用に至るまで、独立した研究開発を主張し、産業用ロボット領域で高い技術競争力を有し、この分野での今後の展望が大きく期待されています。

2020年まで、同社の産業用ロボット分野に関する中国特許出願公開は645件あり、有効特許が325件、審査中が265件、失効が55件(拒絶38件、出願公開後の取下げ3件、放棄13件、特許料未納1件)となっています。中国出願以外に、PCT出願(WO)11件、日本出願(JP)1件を持っています。過去3年間で、グリー・エレクトリックの産業用ロボットの中国特許出願公開数は大幅に増加しており、2020年で中国国内企業の中でトップとなっています。

産業用ロボットに関するグリー・エレクトリックの中国特許出願公開状況
【図6-2 産業用ロボットに関するグリー・エレクトリックの中国特許出願公開状況】

 

(3)瀋陽新松ロボットオートメーション有限公司

瀋陽新松ロボットオートメーション有限公司(http://www.siasun.com/、略称:新松)は、2000年に設立され、中国科学院に所属し、独自のロボット技術を中核としたデジタルインテリジェントハイエンド機器の製造を専門とするハイテク上場企業です。

新松は、瀋陽に本部を位置し、上海に国際本部を設置し、瀋陽、上海、杭州、青島、天津、無錫、濰坊に工業団地があり、済南に山東新松産業ソフトウェア研究所を設立し、韓国、シンガポール、タイ、ドイツ、香港などに多数の子会社と海外地域センターも設立しています。全国的なロボット産業化の拠点として、新松は完全なロボット製品ラインと産業4.0全体的なソリューションを持っています。

同社は、独立した知的財産権を持つ産業用ロボット、協働ロボット、移動ロボット、特殊ロボット、サービスロボットの5つのシリーズで100を超える製品の開発に成功しています。製品は40を超える国と地域に輸出されており、世界中の3,000を超える国際企業にサービスを提供しています。
現在、新松は瀋陽で最大級の企業であるとともに、世界で最も完成度の高いロボット製品ラインのメーカーの1つであるとされ、国内のロボット業界のリーディングカンパニーとなっています。

2020年の原子力産業用ロボットとスマート機器の共同イノベーションアライアンスの年次会議で、新松は独自に開発した多数の特殊ロボットを初めて発表しました。また、新松は、「探龍」シリーズのスネークアームロボットと、「越影」、「奔霄」、および「騰霧」シリーズの特殊なフィールド移動ロボットも開発しました。

新松の産業用ロボットに関する公開された中国特許出願は325件あり、有効特許が138件、審査中が108件、失効が79件(拒絶12件、出願公開後の取下げ47件、放棄8件、特許料未納6件、存続期間満了6件)となっています。また、PCT出願(WO)1件があります。

産業用ロボットに関する新松ロボットの中国特許出願公開状況
【図6-3 産業用ロボットに関する新松ロボットの中国特許出願公開状況】

 

(4)深セン優必選テクノロジー有限公司

深セン優必選テクノロジー有限公司(http://www.ubtrobot.com/、UBTECH)は、2012年に設立され、広東省深センを拠点とする中国のロボットメーカーであり、人工知能とヒューマノイドロボットの研究開発、プラットフォームソフトウェアの開発とアプリケーション、および製品販売を統合するグローバルなハイテクイノベーション企業です。同社は、主にスマートロボット、人工知能アルゴリズム、ソフトウェア、通信機器および関連分野の技術研究開発および関連するサポート事業に従事しています。

UBTECHは、キャリアとしてのスマートロボットとコアとしての人工知能技術により、あらゆる分野の顧客にワンストップサービスを提供し、「ハードウェア+ソフトウェア+サービス+コンテンツ」のインテリジェントなサービスエコシステムの構築に取り組んでいます。高性能サーボドライブと制御アルゴリズム、モーション制御アルゴリズム、及びスマートロボット自律ナビゲーションおよび測位アルゴリズムを開発しました。

2020年8月、UBTECHと天奇オートメーションエンジニアリング有限公司は、「戦略的協力フレームワーク契約」に署名し、産業用協働ロボットに関して、両社は、製造、インテリジェントアプリケーションシナリオの拡張、および顧客と市場の開発において、緊密に協力しています。

UBTECHの産業用ロボットに関する公開された中国特許出願は298件あり、有効特許が138件、審査中が155件、失効が5件(拒絶1件、出願公開後の取下げ3件、放棄1件)となっています。また、UBTECHは、積極的にグローバルな特許出願戦略を重視しており、中国国内での出願以外に、PCT出願(WO)12件、米国出願(US)73件、欧州出願(EP)2件、日本出願(JP)2件、韓国出願(KR)50件を持っています。

産業用ロボットに関するUBTECHの中国特許出願公開状況
【図6-4 産業用ロボットに関するUBTECHの中国特許出願公開状況】

 

(5)広東博智林ロボット有限公司

広東博智林ロボット有限公司は、2018年7月に設立され、ロボット本体とそのコアコンポーネント、関連するロボットコア技術、インテリジェントロボットシステムの研究開発、インテリジェント製造、運用を事業内容とする技術系新興企業です。同社の製品は、主に建設、ケータリング、資産管理、医療、農業、スマートホーム、製造の分野でのロボット、インテリジェント機器およびシステムに使用されています。

博智林ロボットは、2018年の設立以来、建設ロボットの研究開発、製造、応用に注力し、体系的な研究開発システムを確立してきました。
2020年4月現在、5つの主要な研究機関が設立され、建設ロボットと医療用ロボットの2つの主要な製品ラインが形成され、多くのプロトタイプが開発され、多くのプロジェクトが製品化と市場化に向けて進んでいます。その中では、50種類以上の建設ロボットが開発中であり、30種類以上が建設現場テスト応用に投入されています。30項以上のコアコンポーネントとソフトウェアが開発中であり、建設ロボットコントローラーや2輪差動軽負荷AGVシステムなどの主要コンポーネントが段階的に量産されています。
将来的には、1,000億を超える規模のロボット産業のエコロジカルな構築を実現し、ロボット産業チェーン全体で世界をリードするサービスプロバイダーを構築することを目指しています。

同社の産業用ロボットに関する公開された中国特許出願は200件あり(2019年が58件、2020年が142件)、有効特許が92件、審査中が102件、失効が6件(拒絶1件、出願公開後の取下げ5件)となっています。また、PCT出願(WO)4件もあります。創業したばかりの若い会社ですが、成長の勢いは急速に進んでおり、業界でも無視できない競争力を持っており、今後産業ロボット分野で大きな発展の余地もあります。
 

(6)鴻海精密工業股份有限公司

鴻海精密工業股份有限公司(https://www.foxconn.com/、FOXCONN)は、1974年に台湾で設立され、金型をベースに、徐々にハイテクサービス企業へと発展し、グループビジネスモデルを通じて、電子ファウンドリサービス(EMS)の世界で40%以上のシェアを誇り、現在、台湾で最大の企業です。製品範囲は、家庭用電化製品、クラウドネットワーク製品、コンピューター端末製品、コンポーネントなどの4つの主要な製品領域をカバーしています。

FOXCONN傘下の持株子会社である産業インターネット株式会社は、通信ネットワーク機器、クラウドサービス機器、精密工具、産業用ロボットの世界有数の専門的な設計および製造サービスプロバイダーです。

FOXCONNは、中国で早い段階で工業製造業の研究開発に従事し、中国の産業用ロボットの初期の研究開発に取り組んだ主要な大手企業の1つです。産業用ロボットに関する公開された中国特許出願は226件あり、有効特許が50件、審査中が8件、失効が168件となっています。また、米国出願(US)20件、日本出願(JP)56件、台湾出願(TW)81件、韓国出願(KR)1件があります。

産業用ロボットに関するFOXCONNの中国特許出願公開状況
【図6-5 産業用ロボットに関するFOXCONNの中国特許出願公開状況】

 

7.参考:簡易的な検索式

No 検索式 件数
1. TIABC=((机器人 or 机械手 or 机械臂) (5W) (工业 or 自动化 or 关节 or 关节电机 or 坐标 or 焊接 or 搬运 or 并联 or 分拣 or 装配 or 打包 or 拆包 or 包装 or 切割 or 打磨 or 抛光 or 喷涂 or 码垛)) or (“industr* (robot* or manipulat*)” or “automat* guid* veh*” or AGV or articul* (robot* or manipulat*) or SCARA or Delta (robot* or manipulat*) or cartesian* coordinat* (robot* or manipulat*) or “cylindr* coordinat* (robot* or manipulat*)” or weld* (robot* or manipulat*) or transfer* (robot* or manipulat*) or pallet* (robot* or manipulat*) or sort* (robot* or manipulat*) or stamp* (robot* or manipulat*) or assemb* (robot* or manipulat*) or pack* (robot* or manipulat*) or unpack* (robot* or manipulat*) or cut* (robot* or manipulat*) or grind* (robot* or manipulat*) or polish* (robot* or manipulat*) or paint* (robot* or manipulat*) or parallel* (robot* or manipulat*) or clean room (robot* or manipulat*)) 864,903
2. IPC=(B25J or B23Q7 or B23K or G06N or G09B or B65G or G01L or G06T or H04N or G01B or G01S or G01D or G05B or G06F or F16H or F15B or H02K or H02N) 1,8215,289
3. 1 and 2 2,097,385
4. PD=[18000101 TO 20201231] 148,317,054
5. 3 and 4 307,032
(出願番号合併:254,366)

 

産業用ロボットの技術動向分析には中国企業の特許・技術情報調査が不可欠

ということで今回は、簡易的な検索により、中国における産業用ロボット分野の特許出願状況について分析してみました。
自社の具体的な技術開発競争や市場競争に関しての現状の分析と、将来の展望の立案と研究のサポートとしては、より詳細な技術動向の調査を行うことが必要となります。
 
具体的な技術テーマについて中国特許の分析をしてみたい方は、お気軽に日本アイアールの特許調査部までお問い合わせ下さい。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 J・X)

 


中国の技術情報調査、特許調査・分析サービスは日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。


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