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2024/12/3(火)9:30~16:30
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今回のコラムでは、生活のいろいろな場面で利用することが多い「バーコード」「QRコード」の基礎知識についてご紹介します。
目次
スーパーマーケットなどで買い物をした時の精算時に品物に添付されたバーコードを店の方が読み取って請求額を提示する支払い時や、又この時にスマートフォンでバーコードを提示することでコードを読取り支払いが完了するなど現在利用が進んでいます。またスマートフォンアプリを起動することで、入力が煩雑なURLアドレスなどを瞬時に認識してWebサイトに入ることができるなど活用も行われています。
このように使用されるバーコードには、2つのタイプが存在しています。
一つは一次元シンボルであり、もう一つは二次元シンボルです。
縦縞模様であり、線状の幅が複数のもので構成される数字や文字また記号などの情報をルールに従って変換した識別子で、一次元のコードです。
歴史をみると、米国にて発明されており1952年に特許取得がされています。
普及のきっかけとなったのは、やはり食品スーパーでの利用が開始したことによるものです。
その後国際的に標準化が進みました。まずアメリカにおいてUPC(Universal Product Code)、これをもとに日本においてJAN(Japan Article Number)、ヨーロッパはEAN(European Article Number)の統一したコードとして運用されています。
コードの構成は、標準タイプ13桁と短縮タイプ8桁の2種類があります。
標準タイプの構成例を下の図に示します。
[標準タイプのJANコード構成]
標準タイプには、事業者コード7桁と商品アイテムコード3桁の構成もあります。
短縮タイプは主に小型の商品用に使用され、コード構成が異なります。
一次元コードの読み取りに使用されるバーコードスキャナには、主にCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)のラインセンサー方式を用いたものや、レーザー光を照射して反射を受光素子で受け取る方式、またLEDを用いた安価なものなどがあります。
通称「QR(Quick Response)コード」と言われ、トヨタ系の自動車部品メーカーであるデンソー(現在のデンソーウェーブ)において、1994年に工場や物流への利用を目的に発明されました。
構成はマトリックス型の二次元コードです。それ以前は一次元コードの利用が主流でしたが、情報量を増やしたいことや誤り訂正能力の向上を目指して開発されました。そして、オープンソースのため日本に限らず世界への普及が加速され広まっています。
情報量の増大によりコード内には、日本では漢字、カタカナなどの文字も定義することができます。
[QRコードのフォーマット情報]
コード内の基本のなる要素(マス)であり、白黒の2進法を用いた言語で表現されます。
コード全体の位置を検出するために、四隅のなかで三つの大きな正方形で示されます。
位置のほかに大きさや傾きなどを検出できます。
ファインダーパターンの内側に位置するセルの集合で縦横に配置されたセルによりコード全体の歪み、セル間の誤差が生じている場合に補正するために使用されます。
コード内で右下方に位置するファインダーパターンより小さい正方形で、コードの歪み補正するために使用されます。アライメントの中心座標を基準に歪み補正を行います。
ファインダーパターンの近傍にあり、誤り訂正機能のレベルや読取り調整のためのマスクパターンに関する情報などが定義されています。
二次元コードの仕様としては、最小サイズ21セル×21セル(バージョン1)から4セル刻みで最大サイズ177セル×177セル(バージョン40)のサイズまであります。
また、規格としては、1999年にJIS X 0510を、2000年にはISO/IEC 18004の規格化がなされました。
データを復元させる誤り訂正能力には4段階のレベルがあり、一般的な環境ではレベルL/M、汚れやすい環境ではレベルQ/H が使用される目的で設定されます。
誤り訂正符号としては、リードソロモン符号が用いられています。
[誤り訂正レベルと復元率]
二次元コードは、一次元コードスキャナのような専用の読み取り機を必要としません。
写真などの画像で受け取り、上述のコード構成に記載したパターンに従って画像解析を行います。
カメラ機能を持つものであれば、いろいろな機器で実現できることがメリットです。
二次元コードの利用としては、現在では航空券・スマートフォン・入場券・乗車券・プリペイドカードなどや、また工場などの工程管理など様々利用されています。
この技術が利用される市場では、比較される技術としてRFIDなど電子タグ技術があります。
今後もバーコードの用途の拡大が見込まれますが、スマートフォンを利用したQR決済などは、写真アプリや買い物アプリ(〇〇ペイなどのアプリ)などの立ち上げを予め行うことが前提であり、交通系のICカードなど電子タグとの使い勝手の良さに対し不利な面もあります。しかし、物流管理などでは、電子タグの普及に比べてバーコードの方が現状多数導入されています。スーパーマーケットのレジでも両方が存在するように、電子タグとの共存による棲み分けが今後も進むと推測されます。
また、バーコードはそれ自身としてもカラー化による情報量の増大など、さらに進化していくことが予想されます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)