3分でわかる技術の超キホン 「接着」のメカニズムを解説!濡れと接着力の関係は?

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接着の原理・メカニズムを解説

接着は「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力またはその両者によって二つの面が結合した状態」と定義されています。

では、接着剤によって、なぜモノとモノがくっつくのでしょうか?
今回はそのメカニズムを中心に、接着の基本知識を解説します。

1.接着のメカニズム

前述の定義の通り「接着」とは、化学的もしくは物理的な力またはその両者によって二つの面が結合した状態のことです。つまり、被着材(くっつけようとするもの)に接着剤(液状)を塗り、はり合わせた時に液が固まることによって被着材同士が固定された状態です。

接着剤

接着剤は、「機械的結合」「化学的相互作用」「物理的相互作用」の3つの要素が複合的に作用することでくっつくと言われています。
では、各作用についてみていきましょう。

 

(1)機械的結合

機械的結合は、「アンカー効果」「ファスナー効果」または「投錨効果」ともいわれます。

被着材表面の凹面に液状接着剤が入り込んで固まると、木に釘を打ち込んだように離れなくなる。これにより接着が成り立つという仕組みです。

木材や繊維、皮等の多孔質素材同士の接着は、これで説明できます。

機械的結合

 

(2)化学的相互作用

化学的相互作用とは、接着剤と各被着材が、共有結合(原子同士で互いの電子を共有することによって生じる化学結合)や水素結合(2つの原子間に水素原子が仲立ちとなって入る化学結合)などの化学反応によって結合することによる接着のことです。

化学的相互作用

 

(3)物理的相互作用

物理的相互作用とは「ファンデルワールス力」といわれるもので、接着剤と被着材の距離が非常に近づいている際に生じる、接着剤の分子と被着材の分子との間の引き合う力のことをいい、接着剤の基本的な原理とされています。
ファンデルワールス力とはすべての種類の分子間に働く引力です。

物理的相互作用
 

このように、接着とは、機械的な引っ掛かり、分子間力、そして原子間力などが作用しており、この中のどれか一つによるものではなく、それぞれの作用が複合的に働いている現象です。

 

2.接着のポイント:濡れと接着力

全ての接着剤は液状です。
この液状物が、乾いて固まるとことにより、被着材が固定された状態を私たちは通常、「くっついた」(接着した)と表現しています。

それでは、「くっつく」「くっつかない」とはどういうことなのでしょうか?
なぜ接着剤が液状であることが必要なのでしょうか?

それは、液状でないと濡れないから(濡れないから)です。

日常でも私たちはこの「濡れ(ぬれ)」の現象を経験しています。
きれいなガラス板に水滴を落とすと、水滴はあまり盛り上がらず平に広がります。つまりガラス板がぬれているからです。
また、目薬は眼球を濡らします。この作用によって、まぶたと目の表面の摩擦が軽減されます。

反対に、フッ素コーティングなどで処理された表面は、水や油をはじきます。目玉焼きがフライパンにくっつかず作れるのはこのお陰です。
木の葉が水をはじくのもよく見る現象です。光合成をしたり呼吸をしたりするために、絶えず空気と触れていなければならない草木にとっては、とても重要な現象なのです。

 

「濡れ性」と「接触角」

接着においても「ぬれる」ということは重要です。
被着材と被着材を上手くくっつけるためには、接着剤の選択ももちろん重要ですが、被着材の表面状態も重要です。

なぜなら、接着剤が被着材の面に広がる(なじむ)ことが重要で、被着体の表面を均一に濡らすことが必要不可欠だからです。つまり、被着材の表面が濡れなければいけないのです。
そして、ぬれの角度(接触角度)が小さいほどに、接着性がよくなり、しっかり接着します。

  • ぬれ」= 接着剤を塗った際に、被着材の表面が濡れて良く馴染んだ状態
  • くっついた」= 良くぬれたまま固まることで、馴染んだ状態がロックされ、馴染みっぱなしになった状態

と言えます。
 

「濡れ性」は、接触角θを用いて定量的に表現することができ、接触角θが小さいほど濡れ性が良く、θが大きいほど濡れ性が悪く(はじきやすく)なります。
ぬれにくい
ぬれにくい(はじく)とは、この接触角が大きいことを意味します。

接着剤の被着材への接触角
接着剤の被着材への接触角θが90°以下の場合、良くぬれた状態とされ、親和性が高いと判断されます。

ぬれやすい
接触角が小さいということは、接着剤と被着材の距離は非常に近づいている状態であり、互いに引き合う力=分子間引力(またはファンデルワールス力)が生じます。
 
 

以上、今回は接着のメカニズムについて説明しました。
モノ側(被着体側)からすると、表面が濡れることがとても重要なことがわかって頂けたかと思います。

次回は、接着剤のトレンド、課題について説明します。


【豆知識】自然界の接着から発明!水中でも接着可能?(接着剤うんちく)

ほとんどの人工的な接着剤による接着は空気中で作用し,水中や海中では使用出来ません。
自然界の接着から発明
一方、自然界には水中で接着している生物がいます。
イガイ(ムール貝の近縁種)やフジツボなどといった海洋付着生物は、接着タンパク質と呼ばれる生化学物質を自ら分泌することによって、海水中で岩にくっついています。
日本でも水中で使用可能な接着剤の研究が進んでおり、北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の研究グループは、海水中で素早く強力に接着し、繰り返し使用可能な新規接着剤を開発した、と発表しています。

※参考リンク:北海道大学サイト https://www.icredd.hokudai.ac.jp/ja/research/1653


 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・I)
 


※参考文献(サイトURL)


 

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