【センサのお話】AEセンサと適用事例(キャビテーションエロージョン測定)

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AEセンサー(周波数を検知)
 
AEセンサ(Acoustic Emission Sensor)は、圧電素子を用いて10kHz~数MHzの高い周波数の超音波を検出するセンサです。

製品においては、スムーズに静かに動くことが理想で、余計な音は「異音」などと呼ばれますが、音は不具合の状況または兆候を示す場合があります。
AEセンサにより検出される、わずかな高周波音により不具合を捉えることが可能となります。

AEセンサは応用範囲が広く、例えば、材料が変形あるいは破壊する際に放出する音波を捉えられることにより、航空機などの疲労劣化診断に用いることも可能です。

今回は、キャビテーションエロージョンの測定への適用事例について説明したいと思います。

 

キャビテーションエロージョン

キャビテーションエロージョン(cavitation erosion)は、流体中での流速や圧力変化により局部的に飽和蒸気圧以下の圧力となることにより発生した気泡が再び流体中に溶け込み消滅することなく、一気に破裂する時の衝撃エネルギーにより、金属などの表面が削り取られる現象です。

対策としては、部品設計により流れの最適化を行ったり、耐エロージョン強度の高い材料を用いることや、パイプであれば二重管構造とすることなどがあります。
シミュレーションによる流体解析を用いて、そもそもキャビテーションが発生しないような設計を行いますが、実験評価としては、実際の作動を模した耐久テストによりキャビテーションによるエロージョン発生有無の確認を行います。

 

AEセンサの活用

耐久テストには、時間と工数が必要ですので、その前の予備実験または性能試験の知見によりOKの自信を得たうえで耐久テストを行うことが望まれます。
予備実験において、AEセンサを用いてキャビテーションの破裂音または金属表面の破壊音を測定することにより、最終的なキャビテーションエロージョン不具合のリスクの判定が可能になり、耐久テストを行う仕様の選別を行うことができます。

 

レーティングという考え方

評価基準として数値で表したモノサシを使用できない場合、ランクを定義してそのランクを数字として扱うという方法をレーティング(rating)と呼びます。
これにより基礎的な分類判定には主観が混ざっていても、最終的には数字を用いて評価や議論が可能です。(もちろん最初のレーティングを定義するときの内容をできるだけはっきりさせておくことが重要です)

レーティングをAEを用いたエロージョンリスク判定及び対応に用いると以下のような手順となります。

①例えば、AEの出力パターンと耐久評価完了時のエロージョン状態の相関を基に、レーティングを以下のように行います。
対応するエロージョンの現物標本や写真が必要です。
この場合の耐久評価モードは、市場相関のあるモードよりも過負荷をかけたものとします。
過負荷のレベルは、仕様によりレベル4が発生するレベルとします。

  • AE出力パターンレベル0:全く兆候なし
  • AE出力パターンレベル1:わずかな兆候
  • AE出力パターンレベル2:軽度のエロージョン
  • AE出力パターンレベル3:中度のエロージョン
  • AE出力パターンレベル4:重度のエロージョン

 
②評価結果に対して仕様変更をせずにOKかどうかについてレーティングの数字を決めます。
例えば、以下のように決めます。

  • OK :1以下
  • 要注意:2
  • NG :3以上

 
③レーティング1以下(または0のみ)の仕様について決められたサンプル数で耐久テストを実施します。
 
キャビテーションエロージョン以外へのAEセンサの利用においても、このレーティングの考え方は活用することができます。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
 
☆各種センサ技術に関する特許調査・技術情報調査は日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。

 

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