実験計画法・ベイズ最適化を用いた効率的な実験デザイン
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「実験計画法」は、効率の良い実験方法の計画を行い、得られた実験データを適切に分析することを目的とする統計学的手法で、着目する事象・結果にいずれの要因が影響を与えているのか、その要因をどのような値に設定すれば最適かなどを知ることができます。
今回は実験計画法を用いる上で、必ず知っておきたい基本用語について解説していきます。
成型品を加工において成型品の強度を高める必要が生じたため、成型温度と添加剤の条件を設定し実験を行う場合を例として説明していきます。
実験の対象となる現象や結果
(例)成型品の強度
特性に影響を与えると想定される成型温度や添加剤などの原因にあたるもの
(例)成型温度、添加剤
因子を質的・量的に変える場合の各段階・設定した条件
(例)成型温度80、100℃(2水準)、添加剤A、B(2水準)
各因子の水準が変わることで生じる効果(特性の変化量)
(例)成型品の強度変化
一方の因子の取る水準により他方の因子の効果が影響を受ける場合
(例)温度と添加剤の組み合わせによって強度が変わる場合
主効果と交互作用をあわせたもの
要因効果には、因子単独の効果である「主効果」と、複数の因子の組み合わせによる効果である「交互作用」があります。
主効果は各因子の水準が変わることで生じる効果で、データが大きく変わるということは、要因が与える影響が大きいということです。そのため、データのばらつきから要因効果の大きさを調べることができます。
【図1 主効果のしくみ】
図1のグラフを用いて視覚的に主効果について説明します。
温度の水準を2水準(80℃、100℃)設定した場合、水準80℃における平均は、全体平均に水準の効果a1を加えた値、水準100℃においては効果a2を加えた値になります。
また、各水準の効果の合計は0になるため、効果a1+a2=0になります。
左グラフでは、温度の水準変化に関わらず強度に変化がないため、主効果はありません。
右グラフでは、温度があがると強度に変化があるため、主効果があるといえます。
2つ以上の因子を取り上げる場合には、因子の組み合わせの効果である交互作用を考える必要があります。
温度(80℃、100℃)と添加剤(A、B)の水準組みあわせのデータの平均値をグラフにして交互作用について考えてみます。
【図2 交互作用のしくみ】
実験計画法によって計画した実験からデータを得て、分散分析により主効果や交互作用があるかどうか統計学に基づいて判定することで、要因分析をすることができます。
次回は実験計画法の種類(要因配置実験と部分配置実験)についてご紹介します。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 N・Y)