3分でわかる技術の超キホン CdSセルとは?原理と電子回路での使い方を解説!
今回は、電子回路部品のうち、「CdSセル」について説明します。
1.CdSセルとは? その特徴と用途
CdSセルは、フォトダイオードなどとともに、「光センサ」と呼ばれるものの一部です。
“CdS”とは、硫化カドミウム(CdS)を主成分とする光導電素子の一種で、光の当たる量によって抵抗値が変化します。CdSセルの受光部に当たる光の量が多ければ、抵抗値が小さくなります。
抵抗値は、例えば100ルクスで10KΩ~18KΩ、10ルクスで50KΩ~80KΩ、暗所では1MΩ以上となるものもあります。
光量変化に対する抵抗変化は大きいですが、変化追従は遅くなっています。
光量を抵抗値に変換する素子として、ゆっくりした変化の検出に利用されます。
暗くなると自動的に点灯する街路灯、夜間の保安灯、車のオートライトなどに利用されています。
2.CdSセルの原理
CdSセルは、カドミウムと硫黄の化合物です。
2種以上の元素からなる半導体を「化合物半導体」といいます。
例えば、青色発光ダイオードも化合物半導体を材料としています。
カドミウム(Cd)は毒性のある重金属で最外殻の電子は原子核との結合が弱く、自由電子となり導電性です。
これに硫黄(S)を結合させるとカドミウムの自由電子を硫黄原子が捕捉して絶縁体に変化します。
この自由電子の捕捉力は非常に弱く、光があたると自由電子を放出して導体に変化します。
したがって、光の量によって放出する自由電子の量が変化し、抵抗値が変化することになります。
これを「光電効果」といい、正確には「内部光電効果」と呼びます。
(ちなみに、「外部光電効果」は、固体表面から光電子が放出されることを言います。)
3.CdSセルの使い方
CdSセルの使い方として、暗くなるとLEDが点灯する回路を考えてみましょう。
図1は、暗くなるとLEDを点灯させる回路であり、NPNトランジスタをスイッチとして使用します。
トランジスタがオンすると、LEDに電流が流れ点灯します。
【図1 CdSセルを使ったLED点灯回路の例】
抵抗値の求め方
NPNトランジスタは、ベース(B)エミッタ(E)間が一定電圧(約0.7V)以上になるとオンします。
ベースにかかる電圧は、抵抗R2とCdSの抵抗値をRcとすると、電源電圧(5V)をR2とRcで分圧した値になります。
したがって、NPNトランジスタのベースに、明るいときには0.7V未満、暗くなると0.7V以上の電圧がかかるように抵抗R2の値を決めます。
CdSの抵抗値は、明るいときは10kΩ、暗いときは1MΩ(1000kΩ)とします。
トランジスタのベースの電圧をVb、抵抗R2の抵抗値をR2、CdSの抵抗値をRc、電源電圧を5Vとすると、抵抗の分圧比の関係から、
Vb=5×Rc/(R2+Rc)
となります。
Vbを0.7Vとすると、R2とRcの関係は、R2=6.143×Rcとなります。
したがって、明るいときRc=10kΩとすると、R2は、約62kΩ以上となります。
(分圧比が大きいほうが確実にトランジスタをオフできます)
電流制限抵抗の抵抗値
また、図1のLEDが点灯するためには、その両端に2Ⅴの電圧が必要で、電流は10mAであるとします。
ここでは、LEDに電流が流れすぎないようにするため、抵抗(「電流制限抵抗」という)を電源とLEDの間に入れて、LEDにかかる電圧を 5V-2V=3V分だけ抵抗R1で消費するようにします。
この抵抗R1の抵抗値は、LEDを点灯させるのに必要な電流値を10mA(=0.01A)とすると、
オームの法則より、 R=Ⅴ/Iなので、 R=3/0.01=300
つまりR1の抵抗値を300Ωにします。
実際には、周囲の明るさとLEDの点灯タイミング及び明るさを見ながら、最適な値を選ぶと良いでしょう。
街中の暗くなると点灯する街路灯は、上記のような回路が基本となっています。
欧州での規制には注意!
CdSセルは、分光感度が人間の視感度特性に近いことや、比較的大きな電流を流すことができること、さらには値段が低価格でもあるというメリットもあり、意外と多く使用されています。
しかし、カドミウムが含まれているということで、欧州連合(EU)が規制をかけ、欧州には輸出できなくなっている点には注意が必要です。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)