「ICCプロファイル」って何?カラーマッチング/カラーマネジメントの基礎知識
今回は、色(カラー)と再現についてお話ししたいと思います。
普段の生活の中で様々な色が目に飛び込んできます。私たちはこの色とともに生活をしています。
目で見る色には、自然以外では様々な処理を経て再現することを行っています。
今回のコラムでは、「色」に関する前提知識と再現技術についてご説明します。
1.光の色
目に飛び込んでくる色は、光を受け取って目の中で処理して感じとっています。
例えば反射光が目に入る場合は、本来、赤・緑・青・黄などの色面を持ったものに光(正確には白色光)が当たり反射して色光として目に入ります。
色面ではそのもの自体の色以外は吸収し、そのもの自体の色だけが反射して私たちの目に入ってくるのです。
ちなみに反射光で白はすべての色を反射しており、黒はすべての色を吸収しています。
直接光の場合は、光源そのものの色が目に入ってきます。透過光も同様です。
2.加法混色とは?
皆さんが日頃見ているテレビジョン、パソコンやカメラなどのディスプレイ、その他発光媒体に表示される色はどのようにして作成されているでしょうか?
これは、光の三原色というものを利用しています。
光の三原色とは、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)で、所謂「RGB」の色です。
これらを加えていく手法で色を表現するもので加法混色と呼ばれています。
光の三原色をすべて加えると白が表現できます。
三原色のレベルを変化することで多色化の表現が可能となります。
3.減法混色とは?
加法混色に対して、減法混色という色の表現手法があります。
これは光に対するもので皆さんが普段見ている雑誌や新聞、プリンターなどで作成する印刷物や絵画などインクや絵の具などを使用した色の表現です。
色の三原色と言われる、シアン(Cyan)・マゼンタ(Magenta)・イエロー(Yellow)です。
しかし、図に示していますが、CMYを混ぜ合わせても完全な黒にはならないため、黒の色合いを出すためにもう一つ黒色(blacK)を加えて表現されます。所謂「CMYK」と言われています。
理論上は黒になるのですが、現状ではインク・絵の具などに不純物が含まれるため、「完全な黒」は実現できません。
4.カラーマッチングとは?
皆さんは、ディスプレイで見たものをプリンターに印刷した際に色合いが異なることを経験したことがある人が多いと思います。
それぞれのディスプレイメーカーにより、あるいはプリンターメーカーごとに色合いが異なることも一つの原因であります。また、上述のようにディスプレイと印刷では、色表現の仕方が異なります。したがって「光の三原色」と「色の三原色」の間の変換の差も別の原因として存在します。
そこで、これを解決するために「カラーマッチング」を行うことで、色の再現性の向上を行います。
ICCプロファイルの利用
「ICCプロファイル」という、いわば色の標準言語により、ベンダーのディスプレイやスキャナー、プリンター、プロジェクター、カメラなどに依存しない一連のデータの塊を利用することで、ディスプレイで見たものがプリンターの出力として色合いが近いものを得ることができます。
なお、”ICC”(International Color Consortium)とは、1993年にAdobe, Agfa-Gevert, Apple,Eastman Kodak, Microsoft, Silicon Graphics, Sun Microsystems, Taligent の8社で設立したカラーマネージメントの標準化団体です。現在では米国、欧州、アジアなどの数十社が加わる団体です。
ICCプロファイルは、この団体により公開された標準に従って、各ベンダーの機器や色空間などを定義する一連のデータを作成して提供します。
例えば、あるベンダーのディスプレイ(RGB)から他のベンダーのプリンター(CMYK)に出力する場合を考えます。
まず、RGBに対するICCプロファイルの取得を行います。このプロファイルをプロファイル接続空間(PCS = Profile Connection Space)に変換します。その後、CMYKに対するICCプロファイルを用いて、PCSよりCMYKのそれぞれの値を決定します。
このようにICCプロファイルにはディスプレイやカメラなど変換における入力デバイスからの入力プロファイル、プリンターや印刷装置など出力デバイスへの変換するための出力プロファイル、また単独で色空間として定義されたAdobe RGBやsRGBなどのプロファイルなどが存在します。
5.カラーマネジメントと各社の技術開発
今回は、色(カラー)に関して、加法混色、減法混色、カラーマッチングに焦点を当てて説明しました。
カラーマッチングでは、ICCプロファイルの利用による説明を行いましたが、その他にCMM(Color Management Module)などの手段もありますが今回は割愛しました。
このようにカラーマッチングという色変換を行って色を管理することから「カラーマネージメント」と言われます。この分野では各社が画像編集ソフトウェアや画像処理技術などを開発して発表しています。例えば、キヤノンは「Kyuanos」(キユアノス)、マイクロソフトは「Windowsカラーシステム」、ニコンは「Nikon Capture」、 アドビ社は「Adobe/photoshop」など色の分野での開発は進んでいます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)