《初心者向け》品質トラブル対応の進め方|なぜなぜ分析・五ゲン主義・再発防止策

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品質トラブル対応の進め方|五ゲン主義・なぜなぜ分析・再発防止策の基本

品質トラブルが発生した際、現場では何から手をつけるべきか判断が難しく、対応が後手に回りがちです。対応手順が整っていなければ、その場の判断に頼るしかなく、対応の質は担当者によってばらつきます。

本記事では、五ゲン主義で事実をつかみ、なぜなぜ分析で仕組みの欠陥を特定し、再発防止策を組織に定着させるまでの一連の流れを解説します。品質トラブルへの対応手順を整理し、同じトラブルを繰り返す状況から抜け出すためのポイントを明らかにします。

1.品質トラブル対応とは

品質トラブル対応」は、不良品の交換や修正にとどまらず、影響の拡大を防ぎ、原因を特定して、再発防止につなげる一連の活動です。

この活動はQC(品質管理)とQA(品質保証)という2つの役割の連動によって成り立ち、その土台には、原因を個人の責任だけで終わらせず、仕組み上の問題まで掘り下げる考え方があります。

品質トラブル対応の基本を、以下で詳しく解説します。

 

(1)品質保証・品質管理との関係

QC(品質管理)は、工程や製品の状態を管理し、規格や品質要求を満たすように品質を維持・改善する活動です。
一方、QA(品質保証)は、不具合の発生や流出を未然に防ぐため、設計から製造、検査、出荷までの仕組みを構築・改善し、製品が要求される品質を継続的に満たすことを保証する予防的な活動です。
両者は役割が異なるため、どちらか一方では品質トラブル対応は成立しません。

例えば、自動車部品の製造現場では、QCの活動の一例として、三次元測定機で成形品の寸法を抜き取り検査し、工程や製品が規格を満たしているかを確認します。QAは寸法不良が発生しないよう、生産条件の管理基準や測定頻度が作業標準書に正しく定められているかを確認し、不良を未然に防ぐ仕組みを整えます。

QCとQAの連携は、品質トラブル対応を組織として機能させるために欠かせません。

[※関連記事:品質保証と品質管理の違いは?扱うツールや手法、考え方、役割について解説

 

(2)品質トラブル対応で重要な考え方

品質トラブル対応」とは、目の前の不具合を修正する応急処置だけではなく、不具合が起きた原因を取り除き、再発を防ぐ仕組みを作る活動です。

重要な考え方は2つあります。
まず「五ゲン主義」です。現場・現物・現実という事実の確認(三現主義)に加え、科学的な原理や基本ルールなどの原則も踏まえて問題を分析します。

次に、ミスを個人の注意不足だけで終わらせず、仕組みの欠陥として深掘りする姿勢です。トラブルの内容や原因、対策を関係者間で共有し、組織のノウハウとして蓄積します。

蓄積したノウハウを治具や自動チェック機構などの具体的な対策につなげることで、トラブルを組織的な学習と改善の機会に変え、品質を継続的に向上させることができます。

 

2.品質トラブル発生時の基本フロー

品質トラブル対応は、大きく分けて、影響の拡大を防ぐ暫定対策と、原因を除去して再発を防ぐ恒久対策の2つの段階で進みます。
トラブル発生直後は被害を抑える対応に集中し、その後に再発を防ぐ対応へ移る流れです。

初動対応では、必要に応じて製造ラインや出荷を停止し、疑わしい製品を隔離します。暫定対策と同時進行でトラブル原因を分析し、なぜなぜ分析で仕組みの欠陥を突き止めます。

恒久対策の内容を作業標準書や検査基準などに反映し、同じトラブルが起きない仕組みを整えます。その後、一定期間を置いて、トラブルの再発の有無や、改定した標準どおりに作業が行われているかを確認します。対策の有効性が確認できれば、トラブル対応を完了します。

顧客に不良品が流出した場合には、必要に応じて客先へ出向き、現物や使用状況を直接確認することも初動対応に含まれます。
品質トラブルは、品質部門と製造・営業などの関係部署が日頃から連携を取り合うことで対処できる場合もあります。

 

品質トラブル発生時の基本フロー

 

[※関連記事:問題・不具合の発生時に品質保証が行う対応・アクションとは?

 

3.なぜなぜ分析による原因分析

なぜなぜ分析は、「なぜ」を繰り返すことで問題の根本原因を掘り下げる手法です。正しく活用するには、原因を個人の責任だけで終わらせず、仕組み上の問題まで掘り下げる視点が欠かせません。

製造現場の具体的な事例を交えながら、実践のポイントを以下で詳しく解説します。

 

(1)人のせいで終わらせないポイント

なぜなぜ分析でトラブル原因を人の不注意や確認不足で終わらせると、再発は防げません。人はどれほど注意していても、一定の確率でミスを起こすため、注意喚起や精神論だけでは再発を防げないからです。

人のせいにせず対策につなげるポイントは、主語を人から仕組みへ変えることです。なぜAさんは間違えたかではなく、なぜ仕組みがミスを防げなかったのかと考えます。

筆者が経験したケースでは、機械の異常停止が多発していました。原因を掘り下げたところ、点検項目が更新されておらず、必要な確認が漏れやすい状態になっていました。そこで、点検項目を見直すとともに、点検が完了していなければ機械を起動できない仕組みを導入した結果、トラブルが減少しました。
個人への注意や教育だけで対応すると、担当者が変わった際に同じトラブルが再発する可能性があります。

 

(2)製造現場での簡単な事例

加工していない製品が客先に流出した事例を例に、なぜなぜ分析の進め方を以下で紹介します。

内容
問題 加工していない製品が客先に流出した
なぜ① 最終検査工程で未加工品を発見できなかった
なぜ② 加工済み品と未加工品を明確に識別する仕組みがなかった
なぜ③ 未加工品と加工品の置き場が隣同士だった
なぜ④ 設備トラブル時の製品の置き場が明確に決まっていなかった
なぜ⑤ 作業標準書に設備トラブル時の処置ルールの記載がなかった

「最終検査工程で未加工品を発見できなかった」というところで終わらせず、なぜ①からなぜ⑤まで掘り下げることで、作業標準書の不備という仕組み上の問題を特定できます。

なお、なぜなぜ分析は、必ず「なぜ」を5回繰り返すものではありません。原因と結果の関係を確認しながら、対策可能な原因にたどり着くまで掘り下げることが重要です。

 

4.五ゲン主義による事実確認

五ゲン主義」とは、三現主義に原理と原則を加えた、事実と判断基準の両面から問題を捉える考え方です。
現場の感覚だけに頼らず、科学的な根拠と作業の原則に照らして検証することで、品質トラブル対応は精神論から実効性のある分析へと変わります。

五ゲン主義の基本と実践のポイントを、以下で詳しく解説します。

 

(1)五ゲン主義とは?三現主義との違い

五ゲン主義と三現主義の違いは、事実だけでなく判断の基準も組み合わせる点にあります。
事実を原理・原則に照らすことで、場当たり的ではない再発防止策につながるからです。

三現主義 五ゲン主義
構成要素 現場・現物・現実 現場・現物・現実・原理・原則
アプローチ 事実をつかむ 事実+判断基準(原理・原則)を組み合わせる
主な役割 現場で事実を直接確認する 事実を原理・原則に照らして分析する

まず三現主義によって現場の事実をつかみ、その事実を原理・原則に照らして原因や対策を検討することが、品質トラブル対応の精度を高めます。

[※関連記事:不具合再発を防ぐ!三現主義に基づく「根本原因」の究明・対策のポイントを解説

 

(2)品質トラブル対応で五ゲン主義を実践するポイント

五ゲン主義を実践するポイントは、現場・現物・現実で事実を集めつつ、原理・原則に照らして検証し、原因の特定と再発防止策の精度を高めることです。

例えば、計数機能付き計量器を使った作業で員数不足が発生した場合、五ゲン主義の各要素に当てはめると、以下のようになります。

内容
現場 製品を計量器で計量している
現物 バラで箱に入っている製品
現実 規定数だと思っていたが、員数不足が発生した
原理 計量器は、製品1個当たりの重量と総重量から員数を算出するため、製品重量のばらつきやゼロ点のずれなどによって誤差が生じる
原則 作業開始前にゼロ点や1個当たりの重量設定をチェックしたうえで規定数に達したことをカウンターで確認し、表示数量をカメラなどで撮影して記録として残す

このように、現場で起きた事実を計量器の原理や作業上のルールに照らして確認することで、員数不足が発生した原因をより正確に分析できます。
五ゲン主義に基づいた事実確認の積み重ねは、品質トラブル対応の精度を高めます。

 

5.暫定対策・恒久対策から再発防止策につなげる考え方

暫定対策と恒久対策は、目的と実施期間が異なります。暫定対策は影響の拡大や不良品の流出を直ちに防ぐために行い、恒久対策は原因を除去・管理して再発を防ぐために行います。

再発防止策に落とし込むポイントを、以下で詳しく見ていきましょう。

 

(1)暫定対策と恒久対策の違い

以下で暫定対策と恒久対策の違いを紹介します。

暫定対策 恒久対策
目的 影響の拡大や不良品の流出を直ちに防ぐ 原因を除去・管理し、再発を防ぐ
実施期間 恒久対策の効果が確認されるまで 標準的な仕組みとして継続する
対策例 出荷停止、対象品の隔離、全数選別、追加検査、手直し 工程・設備・設計の変更、ポカヨケの導入、作業標準の改定

再発防止には、人の意識ではなく仕組みそのものを変える視点が大切です。
恒久対策の効果を確認後、他の製品へ横展開することで、品質トラブル対応は再発を防ぐ体制として強化されます。

 

(2)再発防止策に落とし込むポイント

品質トラブルへの対応は、暫定対策と恒久対策だけではありません。類似品がある場合、同じようなトラブルが起こる恐れがあるからです。

例えば、加工忘れが発生した製品に、加工の有無を自動で確認する機構を導入した場合は、類似品にも同様の対策を横展開し、同じトラブルが起きない仕組みを整えます。

また、再発防止策を定着させるには、実際に作業した従業員を交えて対策を練ることが大切です。品質部門だけで対策を進めると、現場の実態との乖離が生じ、対策を定着させることが難しくなるからです。

ヒアリングでは従業員自身を責めず、作業内容に焦点を当てます。仕組みでミスを防ぎ、現場の声を取り入れる姿勢は、再発防止策を組織に根づかせます。

[※関連記事:製造業における再発防止の取り組み|手順と対策のポイント、事例など

 

再発防止策に落とし込むポイント

 

6.品質トラブル対応を組織で機能させる方法

品質トラブル対応は、個人の努力だけでは組織全体に根付きません。現場と部署間の連携が滞れば対応が遅れ、特定の人にしか作業ができない状態が続けば、同じトラブルが繰り返されるからです。

組織として機能させるための仕組みを、以下で詳しく解説します。

 

(1)ホウレンソウと他部署連携

品質トラブルを組織で解決するには、ホウレンソウと部署間の連携が欠かせません。連絡の遅れや部署間の対立を放置すると、トラブル対応の遅れを招くからです。

現場ではバッドニュースファーストで事実を伝えます。異常発見から報告までに時間がかかると、その間も不良品の生産が続いてしまいます。

部署間では、製造部門と品質保証部門の間で意見が対立する場合があります。製造部門は、納期や生産能力の制約から全数検査を避けたいと考える一方、品質保証部門は、不良品の流出を防ぐために全数検査が必要だと判断することがあるためです。異常や懸念を速やかに伝えられる環境を整え、部署間の対立を放置しないことが、迅速な品質トラブル対応につながります。

[※関連記事:組織体制で変わる品質保証の文化や違い|品質不正が起こりにくいのは?

 

(2)属人化を防ぐ仕組みづくり

品質トラブル対応の属人化を防ぐには、原因を個人の責任だけで終わらせず、仕組み上の問題まで掘り下げる考え方が大切です。同じミスでも、対応できる人とできない人がいる状態では、担当者が変わるたびに品質が左右されてしまうからです。

スキルマップで各従業員の習熟度を一覧化し、特定の人しかできない作業を明確にすることも重要です。複雑な作業は動画マニュアルで可視化することで、作業手順や判断のポイントを関係者間で共有しやすくなります。

なぜなぜ分析でも作業者の不注意ではなく「照明が暗い」「手順が複雑」といった仕組みの観点で欠陥を特定することが大切です。

再発させない仕組みを作った人を評価する文化は、継続的な改善活動の定着につながります

 

人に依存しない品質管理へ

 

[※関連記事:【資料・ツール解説】スキルマップのテンプレートと記入例

 

7.まとめ

品質トラブル対応とは、不良品の交換や修正にとどまらず、影響の拡大を防ぎ、原因を特定して、再発防止につなげる活動です。
五ゲン主義で事実をつかみ、なぜなぜ分析で仕組みの欠陥を特定し、再発防止策に落とし込む流れを押さえれば、目の前の問題を抑えるだけの対応から抜け出すことが可能です。
ホウレンソウや属人化を防ぐ仕組みも整えることで、同じトラブルの繰り返しを防ぎ、現場が継続的に改善を重ねられる組織づくりにつながります。

 

(アイアール技術者教育研究所 K・S)

 

 

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