- 《大好評》LTspice設計実務シリーズ
LTspiceで学ぶシグナル・パワーインテグリティ設計・解析の基礎(セミナー)
2024/12/12(木)10:00~17:00
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「加速度センサー」とか「ジャイロセンサー」という言葉をお聞きになったことがありますか?
普段あまり聞きなれない言葉ですが、身近なものではカメラの手振れ補正などで利用されており、今多くの方がお持ちのスマートフォン、ゲーム機などにも搭載されています。
現在話題となっている車の自動運転や、ドローン、ロボット制御などに欠かすことができないセンサです。
今回は、この2つのセンサに関して紹介していきたいと思います。
目次
加速度センサとは、単位時間において速度の変化率である加速度を測定するセンサです。
「加速度」とは、例えば物体がスタートして5秒後に20Km/s の速度に加速される場合と、1秒後に20Km/s の速度に加速される場合と比較すると後者が5倍の加速度であることを示します。
加速度センサは、重力方向の検知やX軸、Y軸、Z軸の3軸方向を測定できるため、水平方向の検出や人間の動き、振動、衝撃なども検出および測定可能です。
加速度の単位は、速度の微分値でありSI単位系(国際単位系)においてはm/s2ですが、MKS重力単位としてGを使用します。
1G=1.980665 m/s2 (標準重力加速度)
加速度センサにはいろいろな方式のものが存在しますが、比較的にGの値が低い範囲では半導体のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に集積化したものが使用されています。
これらの測定方式には主に以下のものがあります。
ピエゾ抵抗素子をばね部に配置して、ばねで支えられた錘の変位をピエゾ抵抗素子で検出する方式です。
検出部は固定電極と可動電極で構成され、外部からの力による静電容量の変化を検出する方式です。
熱源により筐体内に熱気流を発生させて、加速度によって発生する対流の変化を温度計測抵抗値により検出する方式です。
ジャイロセンサとは、「角速度センサ」とも言われ、単位時間において角度の変化率である角速度を測定するセンサです。
つまり物体が回転している速度を示すもので、角速度の単位は、deg/s (degree per second) で表します。
例えば物体が1秒間に1回転すると角速度が360 deg/sということになります。
ジャイロセンサにはいろいろな方式のものが存在しますが、加速度センサでも説明しましたように半導体のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に集積化したものが使用されており、原理としては振動式ジャイロセンサです。
棒状、音叉型、リング型などの物体の振動によるコリオリ力より角速度を検出します。
「コリオリ力」とは、物体が移動している時に回転を加えると、この移動方向と回転軸それぞれに直交する方向に働く力です。
角速度の検出方式には主に以下のものがあります。
くし歯状の形状に並べられた電極に電圧を印可することで静電容量の発生を検出によります。
ピエゾ抵抗効果又は圧抵抗効果による抵抗値の変化を検出によります。
水晶やセラミックスなどの物質に圧力を加えることによる電荷の発生を検出によります。
ここでは、二つのセンサを使用した利用例を紹介します。
加速度センサ、ジャイロセンサによる画面の縦横変更、歩数カウント、スマホアプリなどでの利用。
ジャイロセンサによる手振れ補正機能への利用。
任天堂WiiやSwitchのリモコンなどに加速度センサ、ジャイロセンサの利用。
基本的に本体に搭載されて姿勢制御に加速度センサ、ジャイロセンサを利用。
ジャイロセンサは横滑り検知などとして、加速度センサは振動、騒音、車の挙動などの計測に利用。
加速度センサやジャイロセンサが、車の移動距離、移動方向などの検知用として利用。
航空機、船舶、人工衛星などの姿勢制御などにジャイロセンサの利用。
加速度センサ、ジャイロセンサの二つのセンサについて説明を行ってきましたが、利用例でも示したように、自動車関連での制御用として多用されておりエアバッグにも加速度センサが利用されています。
今後もGPSセンサとの連携で自動運転制御の一翼を担って、検知精度などの向上が期待されます。
また今後市場をさらに広げると期待されるドローンでは、安全性の面からも姿勢制御の技術向上がなされていくと予想されます。
このようにロボットなどを含め、市場がさらに広がる分野への加速度センサとジャイロセンサの利用が拡大しています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)
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