3分でわかる技術の超キホン 光ファイバとは?(伝送路用の光ファイバに関する前提知識)

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光ファイバーケーブルの技術
最近では、光ファイバと聞くとクリスマスツリーを思い浮かべる方も多いと思いますが、光ファイバはもっと身近なところで常に使われています。

いまご覧になっているこのコラムのデータ自体も、光ファイバを用いた通信技術によって届けられているのです。
その他にも光ファイバは光ファイバセンサ、光ファイバスコープなど多様な用途に使われていますが、ここでは通信に用いられる光ファイバの中でも伝送路に使われている光ファイバについて紹介します。
 

1. 光ファイバ通信の特長

現代はありとあらゆる情報がデジタル化されています。
電話による音声信号やテレビ画像信号についてもデジタル化が進み、データ通信のように0/1で表現される信号が伝送されています
光ファイバ通信では光のon/offによる光信号をデジタルの0/1に対応させて情報を伝送しています。

図1に光信号による通信の原理のイメージを示します。
図1に示したように送信側から010010…という信号を送信側の光源をon/offすることで受信側に伝送しようとする場合、送信側と受信側の距離が長い場合には伝送の途中で光が減衰してしまい、光信号を伝送できなくなってしまいます。
(実際には、光ファイバを伝送する光信号は、電気信号を直接光信号化したものではありません。)

光信号を伝送する場合に限ることではありませんが、このような伝送路での損失が大きいことは通信にとって致命的な問題になります。

この問題を解決したのが光ファイバ通信です。
光ファイバを伝送路に用いることにより伝送損失を小さくすることができ、かつこの伝送損失が小さい波長帯域が広いため多チャネルの伝送が可能になりました。

また光ファイバは細径で軽量であり、さらには可撓性を持つことから敷設作業が容易であるというメリットもあります。

光信号による通信の原理

図1 光信号による通信の原理

 

2. 光ファイバの基本構造(コアとクラッド)

光ファイバは、中心部の「コア」とその周りに設けられる「クラッド」から構成されています。

光ファイバの基本的な構造を図2に示します。
図2の左部分は光ファイバの切断面で右部分は横断面を表しています。
ここでコアの屈折率がクラッドの屈折率よりも高いときには、光ファイバのコア内に一定の角度で入射した光はコアとクラッドの境界面で全反射するため、光ファイバ内で光を閉じ込めて伝送することが可能になります。光を閉じ込めることで伝送路における損失を小さくすることができるのです。

この閉じ込められた光信号の道すじは図2にも示されていますが、コアに入射する角度によって決まってきます。すなわちコア内では異なる角度で入射した光信号の道すじが複数存在します。そのため互いの光信号は影響を受けます。
光ファイバの基本構造

図2 光ファイバの基本構造

 

3. 光ファイバの特性を決める材料と構造

冒頭で述べたように光ファイバの用途は様々であり、目的に応じた光ファイバを選定する必要が出てきます。
ここでは光通信の伝送路で使用する光ファイバについて紹介します。

光ファイバの特性は光ファイバの材質と構造でほぼ決まります

光ファイバの主な母材としては、石英ガラス、多成分ガラス、プラスチック、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラスなどがありますが、光通信の伝送路としては石英ガラスファイバが用いられます。
この理由としては伝送される光信号の波長帯域を網羅できるためです。もちろん先に述べた伝送損失が小さいという点でも優れています。

また石英は化学的にも安定であるため石英ガラスファイバは基幹となる大容量データの長距離伝送路用として標準化されています。
短距離伝送路の場合には、石英ガラスファイバに比べ伝送損失が大きいものの安価なプラスチックファイバが使われることもあります。

光ファイバの基本的な構造については図2に示しましたが、コア径とクラッド径の比率を変えたり、コアの屈折率を一様ではなく変化させたりすることなどでも光ファイバの特性を制御することができます

光通信の伝送路としてはコアを細くしたシングルモードファイバが使われています。
光ファイバ内に入射する光はコア径が小さいことにより入射角度によらずコア内を直線的に進むことができます。すなわち、光の道すじが1通りになることで光信号の劣化が少なくなるので長距離伝送用に向いています。
 

4. 周辺技術の情報収集も重要!

本コラムでは光通信用光ファイバのうち伝送路で用いられる光ファイバを中心に紹介しているため、実際の光通信システムにおいて考慮すべきその他の光源、伝送方式、光増幅器などについては言及していません。

そのため光ファイバのメリットが強調されているように感じるかもしれませんが、光ファイバを用いたとしても伝送路における光信号波形は少なからず劣化するため、中継器で等価増幅するといった周辺技術なくしては光通信が成り立たず、光ファイバ自体もここまで取り上げられることはなかったことでしょう。

昨今注目されているIoTやAIもご存じの通り多くの周辺技術に支えられて、また支えていくべき技術に成長してきています。そう考えると普段から色々な分野の技術情報を入手する必要があると思いますので、周辺のコラムもご覧いただければ幸いです。

 
(日本アイアール株式会社 N・S)


 

 

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