- 《大好評》LTspice設計実務シリーズ
LTspiceで学ぶ電子部品の基本特性とSPICEの使いこなし(セミナー)
2024/12/5(木)10:00~16:00
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今回は、電子回路部品のうち、オペアンプの選び方について説明します。
オペアンプには、様々な種類があります。最適なオペアンプを選択することはとても重要です。
今回は、オペアンプの選び方とそのポイントについて見ていきましょう。
目次
まずは、オペアンプを用途別に分類してみましょう。
価格優先の普及型です。性能は、中程度です。
オーディオなどの民生用電子機器に使用されています。
オフセット電圧が小さく、オフセット電圧の温度ドリフトも小さいです。高精度直流回路用です。
センサ機器、ファクトリーオートメーション機器などに使用されています。
利得帯域幅積(GB積)や、スルーレートが大きく、高速/高周波信号を扱うために最適化されているものがあります。
DVDプレーヤー等のビデオ信号回路、計測機器、携帯電話の基地局等に使用されています。
内部雑音を小さくしたタイプで、オフセット電圧が小さく抑えられたタイプもあります。
高級オーディオ機器や計測機器などに使用されています。
定電圧動作/低消費電流を実現したバッテリー動作機器用のオペアンプです。
携帯音楽プレイヤー、スマートフォンなどのポータブル機器に使用されます。
高電圧/大電流出力が可能なオペアンプです。
産業用機器、ロボットのアクチュエータやモータ制御回路などに使用されます。
オペアンプの選び方としては、まず、どのような機器に使用するかを決定します。
これまでの本連載でも説明していますが、オペアンプの働きとしては次のような例があります。
オペアンプが、どのような分野の機器において、どのような回路に使用されるのかを決めます。
(※関連ページ:オペアンプの各機能については下記のページをご参照ください。)
オペアンプは、他のICとは違って、電源について以下の分類があります。
図1は、①の両電源オペアンプの電源接続と電源に対する信号波形を示した図です。
【図1 両電源オペアンプの電源接続と電源に対する信号波形】
図1において、オペアンプには、2つの電源端子があります。
基本的にはプラスの「+Vcc」とマイナスの「―Vee」が必要です。
両電源動作時の出力波形例を右側に示します。
出力波形は(GND0VV)を中心にして+Vccと―Veeの間で振れます。
図2は、②の単電源オペアンプの電源接続と電源に対する信号波形を示した図です。
【図2 単電源オペアンプの電源接続と電源に対する信号波形】
図2のように、電源に+Vcc(または―Vee)のみを供給する方式を「単電源」と言います。
図2左の図が基本的な単電源の与え方で、出力信号は+VccとGND(―Vee)の間です。
また、単電源用オペアンプは必ずしも単電源動作(供給)ではなく、両電源動作で用いても構いません。
入出力が「Rail-to-Rail」と表現されているものです。
図3は、レール・ツー・レールタイプのオペアンプの電源接続と電源に対する信号波形を示した図です。
【図3 レール・ツー・レールタイプのオペアンプの電源接続と電源に対する信号波形】
汎用の両電源および単電源オペアンプは、供給した電源電圧の範囲内すべてで信号を扱うことができません。
これに対し、オペアンプの電源電圧(+Vcc~―Vee)いっぱいまで動作するものを「レール・ツー・レール」オペアンプと言います。 なお、「レール」とは電源電圧を指しています。
出力信号は、図3左の図のように、+VccからGND(―Vee)の間のぎりぎりの振幅をとることができます。
汎用オペアンプ選びでは、動作電圧・作動入力電圧・同相入力電圧を超過しないよう選ぶことも欠かせません。過電圧状態になったり、流せる電圧の許容範囲を越えてしまったりするとオペアンプが故障してしまうことがあります。
それぞれの値はオペアンプにより決まっているので、利用する回路の電圧に対応する製品かどうか、確認してから選びましょう。
消費電力量もオペアンプ選びのポイントのひとつです。
消費電流が少ないほど消費電力量が少なくなり、ランニングコスト削減につながります。
ただし、消費電流の少なさに比例して、最大周波数も低くなることに注意が必要です。
コスト削減を重視する際には、増幅可能な最大周波数と消費電力量のバランスが取れた製品を選ぶようにしてください。
汎用オペアンプを正常に作動させるには、オフセット電圧が低い製品を選びましょう。
「オフセット電圧」とは電圧を入力していないときに現れる誤差電圧のことで、高いほど増幅精度が低くなり、急激に高くなるとオペアンプが正常に作動しなくなることもあります。
オフセット電圧はゼロが最も理想的で高精度となりますが、できる限り低いものを選ぶことをお奨めします。
ということで、今回はオペアンプの選び方とそのポイントを見てきました。
まとめると、以下のようになります。
最後に価格(コスト)も重要です。
オペアンプには、1個の価格が、数十円のものから数千円のものまであります。作成される機器内の他の部品とのバランスを考えて選びましょう。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)