3分でわかる バイオガス発電の仕組みとメリット|ごみ焼却発電との違いは?

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バイオガス発電

「バイオガス発電」とは、生ごみなどの有機物を発酵させてバイオガス(メタンが主成分)を得て、これを燃焼させて発電するプロセスのことです。この用語を近年よく耳にするようになりました。
生ごみを含むごみを焼却する従来の発電と比べてどんなメリットがあるのでしょうか?

 

1.バイオガス発電の動き

日本各地でバイオガス発電の導入が進んでいます。その中で代表的なものを表1に示します。

 

【表1 日本の代表的なバイオガス発電設備】
日本の代表的なバイオガス発電設備

 ※処理規模は各施設の公表値に基づくものであり、対象物や数値の定義は施設によって異なります。
  長岡市の65トン/日は施設の処理能力であり、発酵対象は55トン/日とされています。

 

メタン発酵の方式は、原料の固形分濃度によって湿式と乾式に、発酵温度によって中温型と高温型に分類されます。

醗酵を固形分5-15%の流動(サラサラ)状態で行うのが「湿式」であり、固形分20-40%のペースト(ボテボテ)状態で行うのが「乾式」です。
「乾式」と言っても水分が無いという意味ではありません。醗酵に水は必須です。

醗酵を35-38℃で行うのが中温型、50-57℃で行うのが「高温型」と呼ばれます。それぞれの温度範囲で生息できるメタン菌が使用されます。「中温型」は発酵速度がやや低いものの、管理しやすいのが特徴です。高温型では高速醗酵が可能になります。

乾式・高温型は、湿式・中温型に比べてコンパクトな設備で高速発酵できる利点があります。ただし、高温を維持するためのエネルギーが必要になるなどの課題もあります。

福岡県大木町の設備は、生ごみ処理量が3.8トン/日で、これに加えてし尿や浄化槽汚泥も処理する、バイオガス発電の先駆的な施設です。
新潟県長岡市の設備は、処理能力65トン/日の大規模施設です1)。両者は共に湿式・中温型です。
これに対して東京都町田市の設備は乾式・高温型の新鋭設備であり、処理量も50トン/日と大規模です2)。町田市の設備は、併設されている従来型直接燃焼発電と一体運営されている点も注目されています。

 

2.従来のごみ焼却発電との違い

図1は①直接燃焼発電と②バイオガス化(メタン発酵)発電を対比したものです。

 

直接燃焼発電とバイオガス発電の比較①直接燃焼発電
直接燃焼発電とバイオガス発電の比較②バイオガス化(メタン発酵)発電
【図1 直接燃焼発電とバイオガス発電の比較】

 

両者の最大の相違点は水との関わりにあります。生ごみには通常70-85%の水が含まれています。
即ち、生ごみ中にはエネルギーを蓄積している有機物よりも圧倒的に多量の水分が存在します。

従って、①直接燃焼発電では、有機分の燃焼で発生したエネルギーが水分の蒸発によって大量に消費されてしまいます。①直接燃焼発電では、水は発電およびエネルギー回収の上で邪魔ものなのです。

これに対して、②バイオガス化(メタン発酵)発電では水は発酵工程に必要な成分です。また、発酵で生成するガス(メタンと二酸化炭素が主成分)は水と分離しやすく、脱硫・除湿などの処理を行ったガスを燃焼に利用できます。①直接燃焼発電とは異なり、生ごみに含まれる大量の水分を燃焼時に蒸発させる必要がないため、エネルギー損失を抑えられます。

生ごみ1トン当たりの発電量は、原料の性状や設備の規模・方式などによって異なります。水分の多い生ごみでは、バイオガス化発電の方が効率よくエネルギーを回収できる場合があります。これが、バイオガス発電が選ばれる理由の一つです。

 

3.生ごみからのエタノール発電の可能性は?

皆さんの中には、エタノール発電はどうか、即ち、生ごみの醗酵によってエタノールを生産し、発電原料にしたらどうかと思われる方もおられるでしょう。

理論上は可能です。しかし実用的には大きな問題を抱えています。表2はバイオガス発電とバイオエタノール発電を比較したものです。

ここでも水との関係が決定的に重要です。バイオガスと水との分離は容易なのに対して、エタノールと水は親和性が高いので、分離には大量のエネルギーが必要になります。従ってエタノール発電のエネルギー収支は、バイオガス発電よりも不利になる場合があります。

これ以外にも、一般的なバイオエタノール発酵では、生ごみ中の脂肪やタンパク質をエタノールの原料として直接利用することが難しいという問題があります。従って、生ごみからのエタノール発電を実用化するには多くの課題があります。

 

【表2 生ごみからの発電:バイオガスとバイオエタノール】
生ごみからの発電:バイオガスとバイオエタノール

 

本記事では、バイオガス発電の仕組みや特徴について、従来のごみ焼却発電との違いやバイオエタノール発電との比較を交えながら解説しました。生ごみなどの有機性廃棄物を有効活用できるバイオガス発電は、資源循環やエネルギーの有効利用の観点から、今後も重要な役割を果たすことが期待されます。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 N・A)

 


《引用文献、参考文献》


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