【早わかり電子回路】アナログスイッチICの基礎知識

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アナログスイッチICの基礎知識

今回は、様々な機器で使用されているアナログスイッチICを紹介します。

アナログスイッチICは、正弦波のようなアナログ信号の伝達や遮断をスイッチのオンとオフにより制御することが出来ます。

近年は、機械的なスイッチが電子的なスイッチに置き換わってきていますが、その代表的なものがアナログスイッチICを使用したものになります。
 

1.アナログスイッチICの概要

アナログスイッチICは、利用範囲の広い基本的なICです。
電子的なスイッチとしては、他にもトランジスタ、FETなど個別半導体素子によるものもあります。
これらと比べると、アナログスイッチICは、大電流や高周波が扱えないことを除けば(一部使用可能なものもあります)、応用範囲が広いものです。

アナログスイッチICには、たくさんの品種がありますが、定番としてはCMOSのスタンダードロジックである「CD4000B」(ICの名称)シリーズに含まれている 4016B4066B4051B などが挙げられます。

アナログスイッチは、スイッチのON/OFFを外部から制御することができます。
つまり、外部から制御できるスイッチあるいはリレーと考えられます。
外部から制御するとは、パルス信号などを入力して、スイッチのON/OFFを外部から制御することができるという意味です。

単純な図で示すと、図1のように表せます。

 

スイッチのON/OFFの制御の回路例
【図1 スイッチのON/OFFの制御の回路例】

 

図1において、A、Bがアナログ信号端子で双方向です。
(注意:双方向なのでI/OまたはO/Iと表現)

CONTが制御信号で、「Hレベル」でスイッチON、「Lレベル」でスイッチOFFになります。
すなわち、外部からCONTに「Hレベル」または、「Lレベル」を入力すると、スイッチがON、または、スイッチがOFFとなります。

他にも、「Hレベル」でスイッチOFF、「Lレベル」でスイッチONとなるものもあります。

 

2.アナログスイッチICの例

アナログスイッチICの例として、今回は、東芝製のTC74HC4066APというICのピン接続図を図2に示しました。(ICの上から見た図)

「4066」という品番であれば、ほとんどのICが同様のピン配置になっていて、図1のような双方向スイッチが4個入っている構成となっています。

 

TC74HC4066APのピン接続図
【図2 TC74HC4066APのピン接続図】

 

図3にこのICの動作範囲を示します。
 

項目 定格
電源電圧(Vcc) 2~12V
制御入力電圧 0~Vcc
スイッチ入出力電圧 0~Vcc

【図3 TC74HC4066APの動作範囲】

 

図3より、電源電圧は、範囲が広いので、3V、5V、12Vなど幅広い電源系統の回路に対応できています。
他のアナログスイッチでは、アナログスイッチが1個や2個等、複数のスイッチが1つのパッケージに入っているものがあります。

また、上記のTC74HC4066APは、汎用的に使用できる汎用アナログスイッチですが、高周波用など特殊な用途に使用できるアナログスイッチICもあります。

さらに、複数の入力信号から一つの出力だけ取り出せる「マルチプレクサ」と呼ばれるICも、アナログスイッチICの一種といえるでしょう。

 

3.アナログスイッチICの使用例

図4に、簡単なアナログスイッチICの使用例を示します。

図4は、TC74HC4066APを5Vの電源に接続して、LEDを点滅させる回路です。ICの13番ピンに、図のように1秒毎にHレベルとLレベルを繰り返すようなパルスを入力すると、それに対応して、LEDが1秒ごとに点灯(ON)と消灯(OFF)を繰り返します。
使用していない制御端子は、VccまたはGNDに固定しておきます。
 

アナログスイッチICの使用例
【図4 アナログスイッチICの使用例】

 

以上、今回はアナログスイッチICについて紹介してきました。
この分野は、枯れた技術なので、あまり目新しいことはありませんが、オーディオ装置でオーディオ信号を切り替える場合など、信号を切り替えるという用途では、世の中にかなり普及しているICの一つでしょう。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 

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