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不具合未然防止の基本と実務への適用《事例で学ぶ FMEA/FTA/DRBFMの効果的な使い方》(セミナー)
2024/12/3(火)9:30~16:30
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電気自動車や自動運転など、自動車業界は近年新しい技術開発が非常に盛んになっています。
盛り上がりを見せる自動車業界において、世界の大手自動車メーカーはサプライヤーに高品質で安定した部品供給を求め、自動車独自の品質マネジメント規格「IATF16949」の取得を勧めています。
この記事では、IATFって何?という方に向けて、その意味や取得するメリット、ISO9001との違いなどを解説します。
目次
「IATF」は “International Automotive Task Force” の略で、アメリカとヨーロッパの主要自動車メーカーと自動車産業団体から構成されるIATF(国際自動車産業特別委員会)のことです。
このIATFが策定している品質マネジメント規格が「IATF16949」です。
IATF構成メンバーである自動車メーカーは、部材の調達先である部品・材料メーカーに対して、IATF16949認証登録を取引条件として要求しています。
IATFの認証を取得するためには、「IATF16949の規格に適合した品質マネジメント規格が適切に運用されている」か、第三者審査機関の審査に合格し登録される必要があります。
この第三者機関も、IATFの監督機関から承認を得た機関になります。
審査員自身がIATFから監視されており、不適合なしが続くと審査員資格を剥奪されることもあるので、審査は非常に厳しいものとなります。
自動車業界は2つの大きな変革の時代に突入しています。
1つは電気自動車や自動運転など新技術の開発です。
非常に競争が激しく、これまで自動車業界ではなかったメーカーの参入も多くなりました。これらの開発には莫大な開発コストがかかる一方、競争の激化で開発期間が短縮される傾向にありますので、大きな品質リスクがあると言えるでしょう。
2つめの変革はグローバル化です。
自動車の生産拠点は先進国だけでなく新興国にも広がってきました。各国に生産拠点を置くことでサプライチェーンは複雑化し、会社ごとの品質システムやISO9001の要求事項だけでは、品質を維持することが非常に難しくなってきています。
これらの変化を踏まえ、自動車メーカーはサプライチェーン全体で高品質を維持するため、IATF16949を取得した企業の優遇を進めているのです。
時代的背景からも求められているIATF16949取得のメリットには、以下が挙げられます。
IATFの対象となる組織は、自動車搭載用製品や部品を製造する会社です。
車体の部品やエンジン部品はもちろん、フロアマット、ジャッキ、三角警告版、カーナビ部品、またメンテナンス部品なども含まれます。
したがって、自動車産業に関わる非常に幅広い分野でIATFの取得が進んでいます。
日本のIATF認証件数は2008年から毎年約1,000件が認証され、2021年には1,677件が認証され増加傾向が続いています。一方、世界の累計の認証件数は80,000件を超え、こちらも増加傾向にあります。
自動車業界を取り巻く環境から今後もIATFを取得している企業が優遇される流れは続きますので、取得件数の増加傾向は続くと考えられます。
IATF16949の到達目標は、以下の3点です。
IATFは高品質な部材の安定供給を求めています。そのためにIATF16949の規格要求では、不具合が起きてからの是正ではなく、未然の予防に重きを置いています。
また、安定供給のために納期遵守、経営状況、緊急事態への対応準備などが盛り込まれています。
さらに自社だけではなくサプライチェーン全体でのバラツキと無駄の削減も目標に掲げており、供給者管理も重要視されています。
IATFを取得するには要求事項の3層構造を理解し、その全てを満たす必要があります。
商品やサービスの品質向上を目指した国際的な品質マネジメントシステム規格。
ISO9001の127件の規格要求事項をベースに、IATF16949では約280件の追加要求事項があります。その内容はより広範囲で具体的で厳密な要求です。
要求の一例としては、下記の5つのコアツールの効果的な運用が求められています。
また、IATFの規格は年に数回の更新が行われており、公式HPで随時更新されているので、こちらの要求を満たす必要もあります。
納入先メーカーから個々に追加の要求事項がある場合は、それらの遵守も必要です。
IATFのWebサイトでは、GM、クライスラー、ダイムラー、フィアット、ルノー、プジョー、シトロエンの固有要求事項が一般公開されています。
IATF16949の審査を受けるには、上記の要求事項を満たした品質マネジメント規格で1年以上運用している実績が必要です。
IATFの取得には5つのコアツールの導入と効果的な運用が必須です。
審査で必ずコアツールの運用について確認されますので、内容をよく理解して導入しましょう。
この他にも、CP(コントロールプラン)や、タートル図、製品監査など、ISO規格にはなく、IATFの要求事項で追加されているツールや概念などが数多くあります。
コアツールなどは独学での習得はかなり難しいため、外部セミナーやコンサルを受けて、学んでいくのがよいでしょう。
いかがでしたか?
IATF16949はISO9001に比べて難易度の高い規格ではありますが、製造や開発へのウェイトが大きいため、組織全体で取得を目指して品質マネジメント規格を構築すれば、強固な品質保証体制が構築されます。
またビジネス上有利になることも確実です。
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(アイアール技術者教育研究所 A・K)