【資料・ツール解説】スキルマップのテンプレートと記入例

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スキルマップ

製造現場の技能やノウハウは、可視化しなければ継承も多能工化も進みません。
この記事では、当サイトでダウンロードできるテンプレート(記入例付き)を活用して、初心者の方でも迷わないスキルマップの作成手順と管理のコツを解説します。

スキルマップとは

スキルマップ」(Skills Matrix)は、「誰が・どの工程を・どのレベルで実行できるか」を一覧化した表です。
工程別の必要なスキルを行に、従業員を列に配置し(行と列を逆にする場合もあります)、セルに習熟度を入力します。
これにより部署全体の業務の習熟度、配置バランスがひと目で把握できます。

 

スキルマップのフォーマットサンプル

【※当サイトでダウンロードができる、スキルマップ(EXCEL形式のテンプレート)と記入事項の文例】

金型を用いた樹脂押出製品の成形・品質管理を例に必要なスキルを記載しています。

 

スキルマップのサンプル(製造業での記入例)

 

なぜ製造業でスキルマップが必要なのか

製造業では、現場作業の属人化技能伝承の停滞が大きな課題となっています。
ベテランの経験や判断が個人に依存していると、急な欠員や世代交代に対応できず、生産や品質の安定が損なわれる恐れがあります。

スキルマップを活用すれば、各作業員の技能を「見える化」することができ、人材配置や教育の優先順位を客観的に判断できます。多能工化の推進人材育成の効率化にもつながり、持続的な現場力の維持・強化に欠かせないツールがスキルマップです。

 

ISO9001との関係

ISO9001:2015 7.2項 力量 では、業務に必要な力量の明確化や、不足しているスキルへの従業員教育が求められています。
スキルマップを適宜更新し教育実績を添付資料として保存すれば、ISO 9001の監査時に力量の管理を適切に行っていることを示せます

 

スキルマップ作成の5ステップ

  1. 対象業務とスキルの整理
    まずはスキルマップを作る対象業務とスキル項目を整理しましょう。たとえば「押出成形」であれば、「機械の立ち上げ」「金型の取り付け」など、作業を具体的に洗い出します。
  2. 評価基準(レベル)の設計
    各スキルについて、どの程度できるかを判断する評価基準を決めます。未経験や未配属の作業には「―」などを記入しておくと区別がしやすくなります。
  3. スキルマップへ記入
    「行=スキル」「列=作業員」のマスに、現在のレベルを入力していきます。
  4. ギャップの見える化
    各スキルや対象者ごとに「理想レベル(必要な水準)」を設定し、実際のレベルとの差(ギャップ)を確認します。Excelの条件付き書式などで色分けすると、教育が必要なスキルが一目でわかります。
  5. 教育・配置計画に展開
    ギャップの大きい項目から優先的に教育計画を立てましょう。定期的な見直しを習慣化することで、現場力を段階的に底上げできます。

 

職種別のスキル項目例

以下に職種別のスキルマップ項目の例を紹介します。

  • オペレーター系
    機械の操作(段取り、切替え作業、トラブル時の対応)、安全意識、品質確認 など
  • 技術職(開発・保全・設備)
    図面理解や提案力、工程設計、設備点検、市場知識、工程知識、改善提案力 など
  • 事務職
    社内文書作成、データ入力・管理、ルール順守、関係部門との調整力 など
  • 営業職
    顧客対応、提案資料の作成、受注・納期調整、製品知識、交渉力、社内外との折衝スキル など

 

ぜひスキルマップを活用して、より良い現場づくりに役立ててください。

 

(アイアール技術者教育研究所 K・A)

 


当研究所では、このページでご説明した「スキルマップ」(EXCEL形式)のフォーマットを無料提供しております。自社(自部門)でのスキルマップを作成する際のテンプレートとしてご活用ください。

※当研究所が提供している資料や各種フォーマット等につきましては「資料ダウンロードページ」をご参照ください。


 

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