3分でわかる技術の超キホン 容器・包装のユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザイン(UD)とは?
ユニバーサルデザイン(UD)とは、ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンターの故ロナルド・メイス所長が1985年頃に提唱されたもので、障がい者や高齢者など、誰にでもにも使いやすくアクセスし易いことを目的とし、製品、サービス、施設、交通、道路、移動手段、建造物など、人の生活にかかわるあらゆるものについて、デザインや設計を行うことです。
その指針として1995年にはUD7原則(version1.1)が示されました。
UD7原則
- Equitable use(公平な利用)
- Flexibility in use(利用における柔軟性)
- Simple and intuitive(簡単で直感的に認識)
- Perceptible information(はっきりわかる情報)
- Tolerance for error(間違いに対する許容)
- Low physical effort(低い身体的努力)
- Size and space for approach and use(接近や利用のための大きさと空間)
UDの標準化
ユニバーサルデザインの標準化の検討も進められ、ISOガイド71が2001年に制定され、2014年12月にはISO/IECガイド71(Guide for addressing accessibility in standards」「規格におけるアクセシビリティ配慮のためのガイド」)として改定されました。
日本では2003年にJIS Z8071「規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針」が発行(2014年改訂)され、さらにアクセシブルデザインと高齢者・障碍者配慮設計指針で計25件のJISが制定されています。
包装・容器では次の4件があります。
規格番号 | 規格名称 |
---|---|
JISS0021 | 包装-アクセシブルデザイン-一般要求事項 |
JJISS0022-3 | 高齢者・障害者配慮設計指針-包装・容器-触覚識別表示 |
JISS0022-4 | 高齢者・障害者配慮設計指針-包装・容器-使用性評価方法 |
JISS0025 | 高齢者・障害者配慮設計指針-包装・容器-危険の凸警告表示-要求事項 |
UDと容器・包装
包装・容器について、「アクセスのし易さ」という観点で考えますと、醤油とソース、砂糖と塩、シャンプーとリンスなどの容器を間違えたり、容器のキャップが固くて開かないとか、お弁当が開けにくいとか、逆に簡単に開いてしまって中身をこぼしたなどのトラブルがあるのではないかと思います。
UD(容器包装分野)の特許出願状況は?
容器・包装分野のUDに関する特許について、J-PlatPatで調査しました。
先ずは、特許(特開・特表(A)、再公表(A1)、特公・特許(B))について、FIとして、
- B32B(積層体,すなわち平らなまたは平らでない形状,例.細胞状またはハニカム状,の層から組立てられた製品)
- B65D(物品または材料の貯蔵または輸送用の容器,例.袋,樽,びん,箱,缶,カートン,クレート,ドラム缶,広口びん,タンク,ホッパー,運送コンテナ;付属品,閉鎖具,または閉鎖具のための付属品;包装要素;包装体)
の範囲で、全文検索で「ユニバーサルデザイン+アクセシブルデザイン+アクセッシブルデザイン+バリアフリー+高齢者+障がい者+障害者」のワードで調査した結果、1825件のヒットがありました。これを5年ごとに集計してグラフ化しました(グラフ1)。UD7原則が提唱された1995年ごろから特許件数が急増していることがわかります。
また、同じ範囲で、請求項で[蓋+ふた+キャップ+口]*[開封+開閉]のワードで検索しますと、17015件のヒットがあり、5年ごとに集計しますと、同様に1995年ごろから特許件数が急増しています。(グラフ2)(いずれも2018年9月調査)
UDの今後
UD視点で自分の生活の周辺を見ると多くの改善すべき点に気付きます。
未来の社会は、高齢化社会、ダイバシティー(多様な社会)が重要です。UD視点でのものづくりは多くの分野でさらに発展していくでしょう。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 K・O)
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