3分でわかる技術の超キホン イムノアッセイとは


「イムノアッセイ」については、医学、薬学、その他生物系の勉強をされた方は多分その原理はご存知のことと思いますので、そのような方は基本の復習として、その他の分野の方には、できるだけ分かりやすくご説明したいと思います。

イムノアッセイ(「Immuno」=免疫、「Assay」=測定法)は免疫測定法、免疫学的測定法ともいわれます。

ひとことで言うと「免疫反応を利用して,微量物質の検出・定量を行う生化学的手法」です。通常、測定すべき微量物質(ホルモン、酵素、細胞表面抗原など)を抗原とする抗体を作成し、抗原抗体反応の高い特異性を利用、微量物質の測定法(分析法)と定義できます。
 

標識イムノアッセイと非標識イムノアッセイ

抗原抗体反応を検出するために、目印(「標識」と言います)を使用する方法と標識を使用しない方法に大別されます。前者を標識イムノアッセイ、後者を非標識イムノアッセイと呼ぶこともあります。

歴史的には、非標識イムノアッセイは古くから行われていました。
抗体価の測定法として抗体と抗原の溶液の界面における沈降反応を利用した方法や、寒天板での拡散沈降反応(オクタロニー・テスト)、半定量的には赤血球凝集反応とか、ラテックス凝集反応、補体結合反応、免疫比濁法などです。
これらの非標識イムノアッセイは、簡便ですが、高感度化には限界がありました。
なお、通常の比濁法と比べると高感度な方法として、レーザーイムノアッセイが開発されています。これは、免疫反応で形成された抗原抗体複合体に、レーザー光線を当て、散乱の度合いによって、抗原または抗体を測定する方法です。

1956年にS. A. Berson とR. S. Yalow(インスリンに対するRIA法の開発により1977年度ノーベル生理学医学賞)よって発表されたラジオイムノアッセイ(Radioimmunoassay, RIA)が定量性を特徴とする最初の標識イムノアッセイです。RIAの標識物質としては、放射性ヨウ素(125I)、トリチウム(3H)などの放射性同位元素(Radioisotope、RI)が使用されます。

放射性同位元素を使うため、放射性廃棄物が出ることや、施設の整備、比較的高価な測定装置といった問題があり、RIAを大規模に応用できた組織は限られていました。
その後、1971年に酵素を標識として使用するエンザイムイムノアッセイ(酵素免疫測定法;EIAまたはELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay))が開発され、RIAと比べて、放射性物質を用いないため安全性が高く、安価で簡便であるため、現在盛んに用いられています。EIAの標識物質としてはペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼなどが使用されます。ちなみに、抗原、ハプテン(免疫原性を欠き、反応原性のみをもつ抗原。脂質や核酸などの分子量数百以下の低分子。)あるいは抗体を不溶化した固相を用いるEIAをELISAと呼ぶこともあるようです。
標識イムノアッセイとしては、RIA、EIA以外にも以下のような方法が利用されています。

  •  蛍光イムノアッセイ(FIA)
  •  蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)
  •  化学発光イムノアッセイ(CLIA)
  •  金属イムノアッセイ
  •  スピンイムノアッセイ

以上は標識、非標識による分類ですが、イムノアッセイは以下の通りにも分類されます。
 

測定原理による分類

競合的結合原理によるもの(Competitive assays)

一定量(少量)の抗体に対して標識物質と非標識物質とが競合的に結合することを利用して測定します。反応系に標識抗原のみを加えれば抗体に結合する物はすべて標識抗原です。これに非標識抗原を加えるとその量に応じて抗体と結合する標識抗原の量は減少していきます。

結合および遊離の標識抗原を分離し定量することで、加えた非ラベル抗原の量が求められます。

分離法としては、二次抗体、つまり最初の抗体に対する抗体を用いて沈澱させ遠心分離する方法や活性炭やメンブランフィルターで抗体を吸着する方法があります。

非競合的結合によるもの(Non-competitive assays)

固相化した充分量のキャプチャー抗体で測定対象物質を捉え、それを標識した抗体で認識させる、いわゆるサンドイッチ結合により測定するものです。

これは抗原が、複数の抗体に結合する場合(2価抗原)に用いられます。まず抗体を固相(容器壁、ビーズなど)に固定化しておき、次に測定する抗原サンプルを加えて結合させ、放射性標識した別の抗体を加えると、標識が抗原の量に応じて固相に検出されます。

<原理図>

競合法
サンドイッチ法

(上記の図は「役立つ薬の情報~専門薬学」より引用)

 
なお、単一の抗体産生細胞(ハイブリドーマ;hybridoma)に由来するクローンから得られた抗体(免疫グロブリン)分子であるモノクローナル抗体(monoclonal antibody/単クローン抗体とも呼ばれています)が開発され、標識イムノアッセイによる検出、定量はますます広い分野で利用されるようになりました。

特に、サンドイッチ法では、エピトープ(epitope:タンパク分子で抗原性をもつ部分)が異なる2種類のモノクローナル抗体を用いる方法は一般的です。

ちなみに、2つの異なるモノクローナル抗体をワンポット法サンドイッチイムノアッセイに関して興味深い判決がありますので、ご参考として以下に挙げておきます。
 

審決取消請求事件(審査基準 引用裁判例)

東京高裁平成10年(行ケ)第180号 平成13年3月15日第18民事部判決

原告 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシャープ

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun/cases/10-1-180.html

http://www.yuneed-ipr.com/jp/newcases/img/20010531.pdf

 

反応系による分類

均一系による測定(Homogeneous assays)

測定が終始溶液状態で行なわれる測定系を言います。以下、均一エンザイムイムノアッセイの例を示します。

  •  均一エンザイムイムノアッセイ(均一EIA)

 

均一EIAには、例えばハプテンが用いられます。ハプテン-酵素の複合体に抗ハプテン抗体を添加すると酵素活性は低下します。単独のハプテンを添加すると、抗ハプテン抗体は単独のハプテンとも結合するので酵素活性の低下が抑えます。酵素活性とハプテン添加量には比例関係が見られます。

 

均一EIA

 

不均一系による測定(Heterogeneous assays)

固相化された抗体などを用いて反応、洗浄が行なわれる測定系を言います。

 

(以上の分類は富士フイルムワコーシバヤギ株式会社のウェブサイトより引用。一部の説明はウィキペディア「放射免疫測定」より引用)

 

イムノアッセイの特許調査をするなら?

イムノアッセイに関する特許調査をするなら、先ず以下のような分類(FI)をチェックしてみましょう。

イムノアッセイに関するFIは、少なくとも180分類あり、多岐にわたっていますので、個々についてはご紹介しません。特に重要と思われる個々のFIによる検索結果は以下の通りです。(※2018年5月の検索結果です)

 

FI ドット 説明 ヒット件数
G01N33/531 4 免疫化学的試験物質の製造[4] 4,446
G01N33/533 6 蛍光標識を有するもの[4] 873
G01N33/534 6 放射性標識を有するもの[4] 255
G01N33/535 6 酵素標識を有するもの[4] 612
G01N33/536 4 液相中に形成された免疫複合体によるもの[4] 1,901
G01N33/539 6 沈澱試薬を含むもの[4] 35
G01N33/542 5 立体的阻害または信号の変更,例.蛍光偏光解消,によるもの[4]/均一系の免疫分析 681
G01N33/543 4 免疫化学物質を固定化するための不溶性担体によるもの[4]/担体、固相を利用した免疫分析 13,988
G01N33/557 4 動力学的測定,すなわち.抗原―抗体相互作用の進行速度,を用いるもの[4] 92
G01N33/558 4 抗原または抗体の拡散または移動を用いるもの[4] 231
G01N33/573 4 酵素またはイソ酵素のためのもの[4] 1,487
G01N33/574 4 癌のためのもの[4] 5,313
G01N33/576 4 肝炎のためのもの[4] 866
G01N33/577 4 モノクローナル抗体を含むもの[4] 5,022

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 A・A)

 

☆イムノアッセイなどバイオ・医薬系の測定/分析技術に関する特許調査は日本アイアールまでお問い合わせ下さい。

 


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