GVW、IW、そしてリファレンスウェイト
車両のカテゴリーの区分けや、車両認証テストにおいて「車両重量」は重要な要素ですが、”GVW”、”IW”、または”リファレンスウェイト”など、いろいろな呼び名があります。
これらにはどのような違いがあるのでしょうか?
GVWとその定義
GVWは、“Gross Vehicle Weight”の略で「車両総重量」を表し、以下のような構成となります。
GVW=(車両重量)+(乗車定員総重量)+(最大積載量)
乗車定員総重量は、定員一人当たり55kgとして計算します。
車両重量には、燃料やオイル、冷却水などを含みます。
このような車両重量を、英語では“Curb weight”と言います。
一方、燃料やオイル、冷却水などを含まない車両自体の重量は「乾燥重量」(dry weight)と呼びます。
国内の排ガス規制においては、NOxやPMなどの規制値をトラックのGVWに応じて定めており、GVWにより以下のように区分しています。
- 軽量車(LDT, Light Duty Truck): GVW1.7t以下
- 中量車(MDT, Medium Duty Truck): GVW1.7t 超、3.5t以下
- 重量車(HDT, Heavy Duty Truck): GVW3.5t超
アメリカの中型・大型トラックの重量定義は、次のように日本と異なります。
- 中型トラック:(クラス分類:Class4~7) GVW6.4超、15.0t以下
- 大型トラック:(クラス分類:Class8) GVW15.0t超
国内において、小型・中型・大型など、一般的にトラックの大きさを表す場合は、積載量で呼びますが、GVWとの関係は以下のようになっています。
- 小型トラック :積載量~3t, GVW~5t
- 中型トラック :積載量~6.5t, GVW~11t
- 大型トラック :積載量6.5t~, GVW11t~
排ガス規制におけるトラックのGVWの区分に「軽量車」(LDT, Light Duty Truck) というものがあり小型トラックをイメージしますが、通称「2トン車」「3トン車」と呼ばれる小型トラックは積載量だけでも2tもしくは3tあるわけですので、車両総重量GVWでは当然GVW1.7t以下の「軽量車」(LDT) の区分ではなく、その上の「中量車」(MDT, Medium Duty Truck)という区分に入ります。
では、どのようなトラックがLDTに入るかと言えば、例えば「ピックアップトラック」と呼ばれるものです。
IWとリファレンスウェイト
IWは車両の等価慣性重量(equivalent inertia weight)を意味します。
車両を加速する際に、車重以外に駆動系回転部やタイヤなどを回転させる回転モーメントが必要で、これを重量に置き換えたものが等価慣性重量です。
車両燃費や排ガスを、エンジン単体ではなく車両を用いて、シャシダイナモメータ上でモード運転をさせて計測する場合に、等価慣性重量を用います。
「試験自動車重量」に対して、「等価慣性重量の標準値」として規定されています。
例えば、試験自動車重量1531~1640kgに対する等価慣性重量の標準値は1590kgです。
試験自動車重量は、車両重量+110kgで定義されています。
試験自動車重量を、リファレンスウェイト(RW, reference weight)と呼びますが、RWは地域により以下のように定義が異なります。
- 日本:車両重量+110kg
- 欧州:車両重量+100kg
- 米国:車両重量+300ポンド(136kg)
なお、米国ではリファレンスウェイト”RW”を正式用語でLVW(Loaded Vehicle Weight)と呼びます。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)