《基礎からわかる》製造業(モノづくり)におけるAI活用の考え方
目次
1.人工知能(AI)とは?
人工知能、AI、というと、もう当たり前の言葉として浸透しています。
でも、「人工知能について説明して」といわれると、意外と説明に困ってしまうものではないでしょうか。
実は人工知能の「定義」は時とともに変化し、また対象の分野や立場によってもその定義は違う事が分かっています。あいまいなイメージで理解していることは、全然おかしいことではないようです。
インターネット上に載っている説明をみてみましょう。
「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術」
「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」
(いずれもWikipediaより)
2.人工知能の大まかな分類
(1)汎用人工知能
人間のような認識や思考ができる、まさに人間の脳にとって代わる機能を有するものです。人工知能の最終的なゴールともいえるかもしれません。
現在はまだ汎用人工知能の開発は発展の途上で、人間のように思考することができる段階にはまだまだ遠いといえます。
(2)機械学習
機械そのものが学習能力を持つようにする技術・手法のことです。
コンピュータは高度な計算能力を持っていますが、従来はあくまで人間が設定したルールによって判定を行っていました。機械学習では、膨大なデータとその判定結果を読み込ませる事で、判定する方法を学習していきます。つまり、機械が判断能力を高めることができます。
現代では機械学習の様々な手法が確立され、ものづくりで活躍する人工知能の主要な機能となっています。
例えば、画像認識によってモノの種類を判定したり、膨大なデータ読み込んで製造プロセスの異常を検知したり、本来は膨大な実験が必要な製造プロセスの最適化を計算により行ったり、といった活用がされています。
(3)ニューラルネットワーク
機械学習の計算のアルゴリズム(手法)は様々なものが開発されています。その中に「ニューラルネットワーク」があります。
これは、人間の脳神経(ニューロン)をまねた計算方法で、まさに人間の脳と同じような情報処理を実現できる手法として、昔から研究されてきました。近年、コンピュータの性能が向上したため、ニューラルネットワークが実用レベルになってきました。
(4)ディープラーニング
「深層学習」ともいいます。ニューラルネットワークを使用した機械学習の手法です。
ニューラルネットワークは、多数の層を重ねたような計算モデルとなっていて、層が深くなったものを「ディープニューラルネットワーク」といい、それを使った機械学習を「ディープラーニング」と呼びます。言葉の解析や、音声や画像の認識などで、他の方法ではできないような高度な能力を実現します。
3.ものづくりにおけるAIの活用
製造業においては、人工知能は様々な形で活用できます。
例えば、機械学習を使って、プロセス制御の最適化を進めることができます。
製品の設計のための実験や検証に機械学習を導入できれば、試作や評価にかかる費用や時間を削減できます。
人工知能によって高度な画像認識技術によって、製品の欠陥検査・外観検査を自動化することができます。
他にも、調達の最適化や、生産計画の最適化など、様々なシーンで人工知能が活躍し、ものづくりを進化させていく事が期待できます。
ものづくりに人工知能を導入するポイントは?
人工知能の研究開発自体が、まだまだ発展の途上にあります。あらゆることに万能な人工知能というものはまだできていません。現在活用できるものを、現状のものづくりの課題にうまく当てはめて上手に活用するためには、利用する側の考え方が重要になります。
実際に人工知能を活用してものづくりを高度化しようとする場合には、まず導入の目的を明確にする必要があります。複雑なプロセスの最適化を行いたいのか、試作開発の時間短縮を行いたいのか。そして、人工知能を導入することで得られる副次的なメリットや、将来的なさらなる発展的な活用なども視野に入れます。
人工知能はシステムの一部にすぎません。導入するシステム全体の具体的な仕様を検討し、費用対効果を明確にしていきます。
効果としては、歩留まりの向上、材料使用量の削減、リードタイムの短縮、不具合停止の抑制、開発費用の削減など、金額効果を算出して、導入するに値するものであるかを判断します。
(いずれは、そのような人工知能を有するシステムの設計や、導入の判断も、人工知能がやってくれるようになるかもしれませんね。)
4.AI活用の第一歩を
ものづくりの現場に活用できる人工知能ですが、多くの人にとっては、実際に開発や導入に自分自身が関わることはないのでは、考える方も多いのではないでしょうか。ウチの工程にはちょっと縁遠いかな・・・、と。
しかし、インターネットが普及し、高度なソフトウェアも安価に出回っている現代では、人工知能は今やすべての技術者が活用を考えることができます。
そして、IoTが声高に叫ばれる時代ですので、ものづくりへの人工知能導入というのは今後は技術者の必須科目になっていくといえるかもしれません。
これまでAIに携わる機会が無かった技術者の方々には、まずは人工知能の活用シーンに実際に触れてみることをお奨めします。
「これなら今の工程にも使えるかも」と現場の技術者が提案できるようになることが何よりも大切です。
アイアール技術者教育研究所では、生産技術に関わるすべての技術者が人工知能を身近なものとして取り扱えるようになるため、実演型の非常に分かりやすい講座(研修)を開催しています。
おなじみのEXCELを活用して、人工知能のキホンのアルゴリズムを学習できます。さらに、IoTによる人工知能の活用の方法も理解できる講座になっていますので、ぜひご活用ください。
(※【実演型】生産技術者向けAI/IoTの入門講座のページはこちら)
(アイアール技術者教育研究所 K・O)
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