ものづくりエンジニアのためのAI倫理講座【出張研修】
| 開催日時 | - |
|---|---|
| 担当講師 | |
| 開催場所 | 法人向けの出張研修(訪問またはオンライン対応) |
| 定員 | - |
| 受講費 | お問い合わせ下さい |
【出張研修講座】
ものづくりエンジニアのためのAI倫理講座
~設計現場の判断場面で学ぶ、生成AI時代の倫理と責任~
講座概要
生成AIの普及により、設計検討、材料・部品の選定、規格や技術文献の調査、報告書の作成など、ものづくりの現場でもAIを日常的に使う場面が急速に増えています。多くの企業で「生成AIの使い方」や「情報漏洩に注意」といった研修は行われるようになりました。しかし技術者が現場で本当に悩むのは、使い方を知らないことではなく、使ってよいかどうかの判断を迫られる場面です。
AIの回答に少し疑問を感じている。しかし納期は迫っている。自分で検証し直すには、あと一日かかる。このとき、どちらを選ぶのか。上司から「この図面をAIに読ませればすぐ終わる」と言われたとき、どう答えるのか。こうした場面では、納期と安全、生産性と検証、上司の指示と専門家としての責任、AI活用の推進と機密の保持が、正面からぶつかります。
本講座は、冒頭でこうした判断場面を提示するところから始めます。まず受講者ご自身に迷っていただき、その迷いが何を問われているのかを、技術者倫理の基本原則(公衆優先、有能性、正直性)によって説明します。原則を先に解説するのではなく、実務の場面から入り、後から原則で回収する構成としています。
その上で、各場面の背景にあるリスクと法的な論点を整理し、最後に技術者としての判断基準に落とし込みます。法規制やガイドラインは、判断のときに知っておくべき論点として要点を押さえ、解説そのものが目的にならないよう構成しています。
講師は機械設計の実務経験を持つ技術士であり、製造業の技術者を対象とした技術者倫理研修を継続的に担当しています。設計計算の検算、規格原典の確認、図面・技術情報の取り扱いといった、ものづくりの現場に即した具体例を中心に進めます。
最後は個人ワークとして、自分の担当業務についてAI利用の可否と検証レベルを整理した「AI利用判断表」を作成していただきます。受講後、自部署でそのまま使える形で持ち帰ることができます。
セミナープログラム(予定)
1.設計現場の四つの判断場面
【判断場面】① AIの回答に疑問はある。しかし検証には丸一日かかり、客先納期は明日である
【判断場面】② 上司から「この図面をAIに読ませればすぐ終わる」と言われた
【判断場面】③ AIに書かせた設計書・報告書を、自分の成果として出してよいのか
【判断場面】④ AIを使った設計で不具合が起きたとき、誰が責任を負うのか
• いずれも法令違反ではない。それでも判断を迫られる
2.技術者倫理の三原則
2.1 倫理と法令遵守(コンプライアンス)の違い
• 法令は守るべき最低限の線、倫理はその上にある判断
• 明文化されていない場面でこそ問われる
2.2 技術者倫理の三原則
• 公衆優先原則:公衆の安全・健康・福利を最優先する
• 有能性の原則:自分の能力の範囲を超えた判断をしない
• 正直性の原則:事実に基づく報告と説明を行う
2.3 四つの判断場面を、原則から読み解く
• 場面①は有能性、場面③は正直性が問われていた
• 技術者が悪意なく加害者になりうる構造
2.4 ルールは判断を肩代わりしてくれない
• AI事業者ガイドライン:開発者・提供者・利用者という3つの立場
• AI推進法は努力義務にとどまる
• 社内規程に書かれていない場面で、何を拠り所にするか
3.各場面の背景にあるリスクと法的論点
3.1 AIの誤りと「手戻り」
• 生成AIが「もっともらしい誤り」を出す仕組みと限界
• 設計計算式・材料物性値・規格番号の誤りという具体的リスク
• 検証を省いた結果、出図後に発覚したときの手戻りコスト
• もっともらしい誤りを見抜けない技術者の心理的な盲点
3.2 技術情報の漏洩
• 図面・仕様書・不具合情報をAIに入力することの意味
• 営業秘密としての「管理性」が失われるリスク
• 利用規約における学習利用の扱いと、外為法・輸出管理上の論点
3.3 知的財産と権利
• AI生成物の権利帰属と、依拠性が推認されうること
• AIを利用して発明した場合、誰が発明者となるのか
3.4 責任の所在
• AIを組み込んだ業務プロセスと、技術者の注意義務の変化
• AIの位置づけによって責任の考え方が変わる(補助か、代替か)
• 「AIがそう言った」は免責にならない
4.技術者としての判断基準
4.1 「AIは道具、判断は人間」をどこまで徹底できるか
• AIに判断させるのではなく、判断材料を得るために使う
• 最終責任者は誰かではなく、誰が何を確認する責任を持つのか
4.2 AIを使ってよい業務/慎重を要する業務の線引き
• 活用しやすい業務:アイデア出し、文章の推敲、調査の入口
• 慎重を要する業務:安全性に関わる設計判断、規格適合性の最終確認
• 入力してよい情報・いけない情報を、自分で判断する基準
4.3 フェールセーフとしての検証の作法
• 設計計算の妥当性確認:オーダーの確認と手計算による検算
• 規格・文献は原典にあたる
• 検証にかける時間を、業務プロセスにあらかじめ組み込む
5.個人ワークとグループレビュー:自分の「AI利用判断表」をつくる
5.1 個人ワーク(20分)
・自分の担当業務を洗い出し、AIを使っている/使えそうな場面を挙げる
・「使ってよい」「確認が必要」「使わない」の3つに分類する
・それぞれについて、理由と人による確認方法を言語化する
5.2 グループレビュー(15分)
・3〜4人のグループで、お互いの判断表を説明し合う
・「○にした業務は、本当に誤りに自分で気づけるか」など、4つの観点で相互に指摘する
・自分では気づけない見落としを、他者の目で埋める
5.3 修正(10分)
・指摘をふまえて、自分の判断表を修正する
・納得できない指摘は修正せず、その理由を書き添える
・完成した判断表は、そのまま自部署に持ち帰ることができる
6.まとめ (15分)
6.1 AIを使える技術者ではなく、AIを使っても自分で判断できる技術者へ
• AIが答えを出しても、技術者の責任までAIに移るわけではない
• 技術者としての倫理的自律性
[※標準開催時間:4時間]
主な受講対象者
- 設計、開発、生産技術、品質保証の各部門の技術者
- 機械・電気・生産技術など、ものづくりに携わるエンジニア全般
- 技術部門のマネージャー、プロジェクトリーダー
- (副次的に)製造業でAI活用ルールの策定を検討している部門・技術系教育担当者
期待される効果
- 受講後すぐに自部署で使える「AI利用判断表」を作成し、持ち帰ることができる
- 技術者倫理の基本原則が、生成AIの利用場面にどう適用されるかを理解できる
- 納期と検証、業務効率と機密保持といった価値の衝突に直面したとき、自分なりの判断の拠り所を持てる
- AI出力の誤りを見抜くための、具体的な検証の作法を身につけられる
- AIを利用した業務における責任と説明責任の所在を、自分の言葉で説明できる
公開セミナーの次回開催予定
- なし(出張研修専用の講座です)
お申し込み方法
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