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2024/12/3(火)9:30~16:30
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圧力センサで用いる主な検出方法は二つあります。
一つ目は、抵抗体を乗せたダイアフラム(弾性薄膜)で圧力を受け、抵抗体に加わった応力によって抵抗率が変化することを利用するものです。
この抵抗体を「ピエゾ抵抗」、現象を「ピエゾ抵抗効果」(piezoresistance effect)と呼びます。
二つ目は、圧力を受けて電圧を発生するピエゾ素子(圧電素子)を利用するものです。
どちらにおいても、ピエゾという言葉が出てきますが、”piezo”は圧力を表すギリシャ語です。
ピエゾ素子では圧電素子の英語表記”piezoelectric element”からピエゾ素子と呼ばれるようになりました。
ダイアフラム上にピエゾ抵抗を用いてホイートストンブリッジを構成し、電圧を印加することにより圧力変化に比例した電位差出力を得ます。
ダイアフラムには、SUS材などの弾性金属を用いる場合もありますが、半導体圧力センサでは、ガラス基板上の小さな空洞をもつ単結晶シリコン層が弾性を持つ薄膜として機能します。
金属ダイアフラムにおいては、その直径と厚さを変えることにより、同一の圧力を受けた時のダイアフラム上の抵抗体の変形量を変えることができますので、これによりセンサの感度と検出範囲(出力スパン)の設定を変えることができます。
「ゲージ圧」(大気圧に対する圧力)を検出するセンサでは、測定対象の圧力と大気圧との差圧を計測するため、ダイアフラムの片側は常に大気圧となっています。
「絶対圧」を検出するセンサでは、測定対象の圧力と真空との差圧を計測するため、ダイアフラムの片側は(ほぼ)真空となっています。
「差圧」を検出する差圧センサでは、二か所の圧力差を計測するため、ダイアフラムの一方に高圧側の流体を導入し、他方に低圧側の流体を導入します。例えば、流体の装置通過による圧力降下量を見るために装置の上流と下流の流体を高圧側と低圧側に導入して降下圧を差圧として計測します。
圧力を全く加えていない状態、すなわち圧力センサエレメントのダイアフラムが全くたわんでいない状態においてもホイートストンブリッジ回路はある出力値を持ち、この値を「オフセット」と呼びます。
一方、圧力センサが計測できる圧力範囲を「出力スパン」と呼びます。
圧力センサに定格圧力を加えた時の出力電圧を「定格出力電圧」と呼びますが、出力スパンは定格出力電圧からオフセット電圧を引いた値となります。
センサ出力スパン電圧を定格圧力で割った値、すなわち単位圧力変化当たりの出力電圧の変化を「感度」と呼びます。
ホイートストンブリッジ回路の出力値は、圧力によるダイアフラムの変形に反応するだけではなく、温度変化にも反応します。このため圧力計測精度を上げるためには、オフセットと出力スパンの両方に関して温度補正を行わなければなりません。
上述したオフセット、定格出力電圧、出力スパンおよび感度以外の圧力センサの代表的電気特性として、ブリッジ抵抗、オフセット温度特性、出力スパン温度特性、直線性、圧力ヒステリシス、温度ヒステリシスおよび応答速度があります。
ピエゾ素子の材料として、チタン酸ジルコン酸鉛PZTなどのセラミックが用いられます。
これらは圧力に対する変位が大きく、より大きな電圧を生じます。圧力の動的変化を瞬時に検出するのに向いています。
一方、搭載環境に振動がある場合には外乱因子として作用します。ピエゾ素子が、計測対象の圧力負荷に加え、振動による負荷に反応するためです。
したがって、振動源とセンサ搭載位置のレイアウトや、センサエレメントに振動が伝達しにくい構造にするなど、設計的配慮が必要となります。
ピエゾ抵抗効果を用いた圧力センサでは、圧力に比例するダイアフラムの変形量を抵抗の変化によりとらえますが、静電容量の変化としてとらえるものや、変形部と基準部との間隙変化によりとらえるものもあります。
圧力センサで検出する圧力のレベルは広範です。
便宜的に、空気や各種ガスなどの圧力を検出するものを低圧センサ、油圧装置などの液体圧を検出するものを中圧センサ、そしてディーゼルエンジン用コモンレールシステムの燃料圧を検出するものを高圧センサと呼びます。
検出圧力のレベルのイメージは次のようなものです。
検出圧力が高くなると、センサの油密(シール性)や、ASIC(出力処理用の個別専用IC)の配置など、検討すべき設計要素がより多くなります。
一方、検出圧力が低いガス圧力の場合でも、ガス中の水分や化合物などが、センサ部に侵入して損傷を与えないよう設計的配慮が必要となります。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
※併せて読みたいコラム:【センサのお話】ピエゾ抵抗効果とピエゾ素子はこちら。
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