3分でわかる技術の超キホン 意外に奥が深い?トイレ用洗浄剤に関する技術の世界
トイレの汚れには色々な種類があります
トイレの汚れにはどんなものがあるかご存知ですか?
無機汚れ、有機汚れ、悪臭成分、菌の繁殖などが挙げられます。無機汚れとしては、排泄物中の尿酸、リン酸などが水洗トイレの水中のカルシウムイオンと結合して尿酸カルシウム、リン酸カルシウムなどに変化し付着します。
有機汚れとしては、黒カビや赤い酵母の繁殖による黒ずみ汚れや赤色汚れが発生します。酵母やカビだけでなく、汚れとして肉眼で判別は困難ですが、菌の繁殖も気になります。
さらに、水中の鉄分やマンガンなど、排泄物中の腐敗たんぱく、排泄物の飛び跳ねや付着なども汚れの原因となります。
これらの要因で、リング汚れ、水垢汚れと呼ばれる汚れになります。
悪臭成分としては、排泄物の腐敗分解により、アンモニア、硫化水素、メルカプタン類、アミン類などが発生します。
複雑な要因に対抗!トイレのお掃除に関する様々な技術
一方で、多くの人が、清潔・快適・居心地の良いトイレ空間を期待しており、古くから種々の製品の提案がなされてきました。要因が複雑なので、対処方法も種々の技術が提案されています。
無機系の汚れは、カルシウム塩を酸やキレート剤で分解除去できます。有機系の汚れは塩素系漂白剤や酸素系漂白剤による酸化分解が有効です。
複合化してこびりついた汚れは研磨剤等の機械力でこすり取ることが考えられます。
他に、界面活性剤、除菌剤、防汚剤、消臭剤、アルカリ剤、溶剤などと組み合わせ、種々の洗浄剤組成物が提案されています。
悪臭に対しては、漂白剤による悪臭成分の分解、酸によるアンモニアの中和、悪臭成分を吸着する剤、相殺作用を有する剤など、種々の技術があります。
簡単・便利なトイレ掃除へ
洗浄の手間を簡素化する工夫も多く見られます。
スプレー容器で噴霧したり、泡容器を利用したり、水洗トイレの縁の裏にかけやすくするためにノズルの首部を曲げた容器など、種々の容器形態が提案されています。
毎回洗浄しなくてもよいように、洗浄成分を少しずつ自動的に流す方法として、タンクの中やタンクの上に置くオートクリーナーと呼ばれるものや、スタンプタイプのもの、トイレボールなどがあります。
気になるときにすぐに使え、使い終わった後は水洗トイレに流せるペーパータイプの除菌洗浄剤も提案されています。
トイレ用洗浄剤の特許状況は?
さて、特許に関しては、J-PlatPatを使って、特許(特開・特表(A)、再公表(A1)、特公・特許(B))について、
- テーマコード:4H003(洗浄性組成物)
- Fターム :DA05(・硬表面(ガラス・タイル・陶磁器)
- 全文検索 :「便器+便座+トイレ+便所」
で検索した結果、1816件のヒットでありました。添付の図は1970年から5年ごとに特許件数をグラフ化したものです。
特許件数は1995年から2004年の10年間がピークとなっておりますが、2015年以降も多くの特許件数があり、50年の長期間に渡って活発に技術提案がなされている分野と言えます。(2018年9月調査)
トイレ用洗浄剤の今後
トイレは清潔が一番。しかし、お出かけ先などで十分ではないトイレを使わなければならないことも多いかと思います。
昔からの課題ですが、今後も継続的な改善が必要と思います。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 K・O)
☆洗剤など化学分野(薬品系)の特許調査サービスは日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。