CIP(継続的改善プロセス)成功へのヒント

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CIP(継続的改善)

CIP」(Continuous Improvement Process, 継続的改善プロセス)は、品質マネジメントシステムにおいて要求される項目ですが、どのような視点から改善項目を考えていくのかについて、いくつかのヒントを説明したいと思います。

 

1.それまでの課題解決活動から得た知見を活かす

継続的改善は、新な改善項目を見つけて改善を続けていくことですが、確認しておかなければならないことがあります。
それは、それまでに課題を解決したプロセスをレビュー(振り返り点検)し、システムやマニュアルに反映したかどうかです。ここでは、悪かったプロセスが再び実行されないように仕組みを改善しておくことに加えて、良かったプロセスを再活用できるようにすることも重要です。

最初からこういうやり方にしておけば良かった、あるいは実行できたこのやり方が効果的だったというように、課題解決の経験・プロセスにおいて得られた知見を活用しなければいけません。
別の言い方をすれば、ある課題が解決後に、次の課題に向けてシステムやマニュアルを強化することも、継続的改善活動のテーマ・項目となります。

 

2.CIPとPDCAサイクル

CIPは、図1で示すPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act、計画→活動→確認→フォローアップ活動)と呼ばれるサイクルを繰り返し回していくことに対応しています。

 

CIPとPDCA

先に述べた、課題解決プロセスのレビュー(振り返り点検)とシステムやマニュアルへの反映は、PDCAサイクルの③と④に相当します。実際の課題解決においては、求められる期限に対応しなければならないため、直接有効な対応策が優先されます。

一方、対応策を議論する際に、チームメンバーで出し合った項目を、直接適用できなかった対応案も含めて、短期項目、中期項目、長期項目というように分類・記録しておくと、後日、その時の課題解決には時間的に適用できなかったが、今後のテーマとして取り組んでいく、即ち継続的改善項目の選択肢として活用できます。

 

3.チームや個人のコンピテンス(競争力)

中期・長期的な改善分野には、個人やチームのコンピテンス(知識やスキルなど技術的競争力)の改善もあります。

課題解決プロセスのレビュー(振り返り点検)時には、将来の課題に対して、自己学習や教育などにより個人やチームトータルのポテンシャルを高める活動分野を決め、計画的に活動しなければなりません。
目の前のタスクにだけに精一杯で、自己開発・教育をおろそかにすると、結局は、間違いと繰り返し仕事が多くなり、ますます時間が無くなるという悪いサイクルに入ってしまいます。はじめから、教育のための時間を確保し、それを前提として業務計画を行うという方法も有効だと思います。
‘確保する’にも工夫と努力が必要となります。

 

4.変化に対応できるプロセス・システムとは

継続的改善の落とし穴としては、それまでのシステムの延長線上の発想で改善項目を考えてしまいがちであるという点です。

今後の課題に対して、適用ができる部分とできない部分を考え、システムの改善を目的として、(改善項目ではなく)全くの異分野の新規取り組み項目も検討しなければなりません。
マニュアルも実際の経験を盛り込んで、過度に複雑になってきたら、課題の種類により、プロセスを選択したり、プロセスをバイパスしたりするルールも必要です。
この際に、システムにおいて、頑固に変えてはいけない部分と、フレキブルに変えなければいけない部分とを設定するのは難しい面もありますが、課題解決に必死で取り組んだ経験・知見をベースにすれば、より良いバランスが築けると思います。

リーダーとメンバーが、トップダウンとボトムアップの両方から継続的改善を行うことにより、チームの「心技体」、すなわちモチベーションスキル、そして体質の強化が実現されていくものと思います。

 

(アイアール技術者教育研究所 H・N)
 

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