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坐剤(坐薬、座薬)は、処方される機会はそれほど多くはないのかもしれません。
坐剤を入れるのはちょっと抵抗がある人も多いかと思いますが、注射のような痛みもなく、飲み薬のような苦さもなく、即効的であったり、坐剤には他の医薬品製剤にはない特徴がいくつもあります。
今回は、医薬品製剤のうち「坐剤」に関する基本知識をまとめました。
目次
日本薬局方では、
「(1) 坐剤は,直腸内に適用する,体温によって溶融するか,又は水に徐々に溶解若しくは分散することにより有効成分を放出する一定の形状の半固形の製剤である.」
と記載されています。
また、腟用坐剤もありますが、腟に適用する以外は同様な記載になっています。
坐剤には局所用と全身用があります。
また、坐剤は紡錘形または円錐形をしており、腟用坐剤は球形または卵型をしています。
ちなみに、直腸用の製剤には、坐剤の他、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤があり、注腸剤(肛門を通して適用する液状又は粘稠なゲル状の製剤)などもあります。
坐剤は、一般的に下記のようなメリットがある製剤です。
その一方で、下記のようなデメリットがあります。
坐剤の製法としては、日本薬局方に下記の記載があります。
「(2) 本剤を製するには,通例,有効成分に分散剤,乳化剤などの添加剤を加えて混和して均質としたものを,加熱するなどして液状化させた基剤中に溶解又は均一に分散させ,容器に一定量充塡し,固化・成形する.基剤として,通例,油脂性基剤又は親水性基剤を用いる.」
一般的な坐剤の製法としては、下記の3種類が知られています。
坐剤には、下記のような基剤が用いられています。
基本的には、軟膏剤に用いられるものと同様なものが多く使われます。
代表的なものとして、乳化カカオ脂があります。
カカオ脂にレシチンを加えると、o/w型の基剤となり、コレステロールを加えるとw/o型の基剤となります。
ウィテプゾールに非イオン性界面活性剤を加えた乳化性基剤もあります。
これら乳剤性基剤は有効成分の吸収や拡散が期待できるとされています。
坐剤の基剤として、下記のような点が求められていると考えられます。
添加剤としては、分散剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、吸収促進剤などが用いられます。
また、生体付着性のある高分子化合物を配合した静止型坐剤があります。
直腸内に投与された坐剤が直腸上部に移動しないようにした製剤です。
坐剤が直腸上部に移動してしまうと、吸収される薬剤は初回通過効果を受けることになるため、それを避けるための製剤です。
高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマーがあります。
坐剤には、製剤均一性試験法〈6.02〉に適合するとされています。
また、「適切な放出性を有する.」とされています。
添付文書情報で坐剤を調べてみると、以下のようになりました。
坐剤の種類 | 医薬品数(*) | 主な医薬品 |
坐剤 | 50以上 | 「アセトアミノフェン坐剤小児用」「インドメタシン坐剤」「ジクロフェナクNa坐剤」「ドンペリドン坐剤」等多数 |
(*)医薬品数はジェネリック医薬品なども含みます。
J-Platpatを用いての特許を調査してみました。(調査日:2021.5.27)
坐剤には、他にも「坐薬」「座剤」「座薬」等の表記がある場合もありますので、実際の検索では注意が必要になります。
国際特許分類としては、「A61K9/02」(特別な物理的形態によって特徴づけられた医薬品の製剤 ・坐剤)がありますので、これを用いて検索してみます。
坐剤のFタームとしては、「4C076AA01」(医薬品製剤 形態 ・座剤;ブジー)があります。
また、その下位概念として、次のようなFタームもあります。
適用部位については、下記のFタームがあります。
これらの調査結果の中には、「メサラミン坐剤」「グリチルリチン含有直腸注入坐剤組成物」「安定な坐剤組成物および坐剤ならびにそれらの製造法」「インドール誘導体含有坐剤」「発泡性坐剤の保存方法」「直腸下部滞留型坐剤」「ジクロフェナクナトリウム徐放性坐剤」等々の特許が検出されました。
J-STAGEを用いて文献調査を行ってみました。(調査日:2021.5.27)
上記調査では、「市販アミノフィリン坐剤のBioavailability」「古くて新しい坐剤」「飛躍する坐剤市場」「アミノフィリン坐剤の直腸吸収」「坐剤の薬剤学的検討」などの文献が見られました。
ということで、今回は坐剤の基礎知識をご紹介しました。
特許や文献の具体的な内容を確認してみたい方は、ぜひご自身で実際にデータベースを検索してみましょう。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)